非モテの山ちゃんとトップ女優の蒼井優
お笑いタレントの山里亮太さんと女優の蒼井優さんの結婚が報じられ、大きな話題になりました。山里さんはよしもとブサイクランキングで殿堂入りするなど、「非モテ」をネタにしてきた芸人。かたや蒼井さんは日本の芸能界を代表するトップ女優です。イケメンではないコメディアンが、美の頂点ともいえる女性のハートを射止めたことに、多くの人が衝撃を受けたようです。
その部分をとらえて「格差婚」と呼ぶなら、ある意味でそれは正しいといえるでしょう。トップ女優は、イケメン俳優や大金持ちの男が射止めるというのが、世間の常識だからです。
ただ、最近はお笑い芸人が女優やアイドルと結婚するということも増えています。その都度格差婚などといわれますが、それは決して悪いものではありません。人々はなかば羨望の気持ちをこめてこの表現を用いているのですから。実際、最初から対等であることを意識して結婚するより、格差婚のほうがうまくいっている例が多いように思います。その理由について哲学を使って考えてみたいと思います。
対等な立場でなければ結婚できない
今回の結婚報道を見て、ふと頭の中に浮かんだのは、近代哲学の頂点に立つ難解な哲学者・ヘーゲルでした。ドイツ観念論、『精神現象学』、あるいはアウフヘーベンで知られる弁証法の概念が有名な人物です。
このキーワードだけ見ても、いかにも難解な感じがしますが、どうしてそんな哲学者と結婚が関係あるのか。実はヘーゲルは、近代的な結婚観を論じた哲学者でもあるのです。あまりその部分は注目されていませんが、とても重要なことをいっています。
つまり、両性の合意にもとづき結婚し、お互い対等な立場でなければならないといっているわけです。いまからすれば当たり前のことに思えますが、200年も前の話ですから、やはりすごいことです。いまだって男女が対等なのかどうか、怪しいものですからね。
なにより、ヘーゲルの結婚論は、彼の家族論の中核をなしており、その家族自体が個人の幸福を発展させていくためのシステムとして位置づけられている点がポイントです。では、人間の幸福はどのようにして実現されていくのか?