どうしようもない現実だからこそ、アニメが必要だ
アニメ映画『天気の子』を観た。大ヒット作『君の名は。』に続く新海誠監督の作品として注目を浴びている映画だ。アニメでしか表現できない美しい虚構の世界が、どす黒い現実に染まりきった僕の心をきれいに洗い流してくれた……ような気がする。
いつもこういうビジネス系のサイトや雑誌の記事では、「私」を主語に「ですます調」で書くことが多い。でも、今日は「僕」を主語に「である調」で書きたいと思う。その方がアニメを語るのに向いているからだ。アニメ作品のプロローグによくある独白だと思って読んでもらいたい。
『天気の子』はレイトショーで観た。家に着いた頃にはすでに0時を回っていたと思う。翌朝カーテンを開けて見た空は、いつもと少し違っていた。虚構が僕の現実を変えてしまったのだ。
アニメは現実の世界を変える力を持っている。僕はずっとそう信じてきた。いや、本当に世界を変えてきたのだろう。多くのアニメーターの命を奪ったあの「京都アニメーション放火事件」の直後、世界中から哀悼の意や支援を表明する声が届けられたのはその証拠だ。
このどうしようもない現実の中から、虚構の世界を失いたくない。僕らにはそういう強い思い、熱い気持ちがあるのだろう。アニメはアニメであるからこそ、現実を支える大きな力になっているのだ。