メディアで「○○王子」と取り沙汰された男性が、数年後に没落していくケースが相次いでいる。どこに問題があるのか、コラムニストの辛酸なめ子さんは「本物の王子様ではないので、時間経過とともにボロが出てくる。『海の王子』だった小室圭さんの行く末も心配です」という――。
元「海の王子」小室圭さんの行く末が心配だ(イラスト=辛酸なめ子)

次々と没落していく「○○王子」の残念なハリボテ感

白馬に乗った王子様を待っていたいというのが乙女心ですが、はたしてスペックもルックスも内面も素晴らしい「本物の王子様」は存在するのでしょうか?

世の中のニュースを見ていると、むしろ残念な王子のほうが多いように思います。ずっと姫キャラを演じている女性がだんだん痛くなるように、見た目が良いだけで王子を名乗っている人にはいつか限界が訪れるのでしょうか。昨今の残念な王子について思い出してみます。

▼「ハンカチ王子」
ハンカチ王子、斎藤佑樹選手もはや30歳に。(イラスト=辛酸なめ子)

真夏の灼熱のマウンド上で、タオルハンカチで丁寧に汗をおさえる気品漂う姿はまさに王子でした……。北海道日本ハムファイターズ投手の斎藤佑樹さん(30歳)が13年前(2006年)、夏の甲子園で優勝した早稲田実業のエースとして大ブレイクした時、ファンブックを買ったり、その年の早実の文化祭まで行ったりした身としては、その後の彼の斜陽ぶりは切ないです。

早大を経て、プロ野球選手になり、レベルの高いところで思うような活躍ができない苦しみはわかります。ただ、「グラウンド」以外の活動で王子らしからぬ素顔がしばしば露呈しました。例えば、2012年にゲスト出演したあるテレビ番組内で発した「カイエン乗りてぇ」「青山に土地買うのってヤバいっすか?」という言葉。これにより流れは完全に変わってしまったように思います。ポルシェはその後、出版社社長におねだりしてゲット。彼なりに着実にほしいものは手に入れているのかもしれませんが、好感度は上がらないまま……。

2016年11月には、北海道でスリップ事故を起こした車の運転手の人命救助をした、という善行が報道されましたが、その後、参加した合コンにおいて「ボッボッボボッボッボッボ・勃起!」コールをしていたとの週刊誌報道のインパクトでかき消されてしまいました……。30歳となった王子様フェイスにギラギラした照りが加わっています。

▼「栃木のプリンス」

栃木県那須の温泉ホテルで演歌歌手として活動し「栃木のプリンス」として大人気だったものの、2017年6月、女子高校生に対する児童買春などの疑いで逮捕された宇都ノ宮晃さん(逮捕時44歳)。

出演料なし、おひねりのみで生活していた苦労人王子が、一度のあやまちで転落……というのが切ないです。本人はまた復活したいという意向をツイッターで示していましたが、逮捕映像は寝起きのような顔で、それが全国放送されたのは自業自得とはいえ残酷です。王子オーラを取り戻すのは難しいかもしれません。