長男は60歳までに1650万円の貯金もできる

「実は老齢年金を手軽に増やす方法があります。それは付加年金です。国民年金保険料に月額400円の付加保険料を上乗せして支払うと、65歳から年額200円×納付月数分の付加年金が老齢基礎年金に上乗せされます。付加年金は老齢基礎年金とセットなので、障害基礎年金のほうを選ぶと付加年金は停止になります」

「そんな制度があるんですね。知りませんでした。僕はぜひやってみたいです」

長男の希望をまとめた結果、毎月約6万5000円の障害基礎年金のうち、3万3000円を貯蓄に回し、60歳までに約1100万円、さらに国民年金保険料相当分となる毎月1万6410円を貯蓄して約550万円で、合計して約1650万円を60歳までに貯められることになりました。

「今まであった心の中のモヤモヤがすっきりしました」

「国民年金保険料と付加保険料は、まとめて前払いすることで割引を受けることができます。免除期間の納付申出と付加年金の手続きをする時に窓口で説明を受けてみてくださいね」

「はい。そうします」

「表をご覧いただくと65歳からは老齢基礎年金のほうが多くなるので、そちらを受け取ることになります。当初の見通しよりも貯蓄額は減ってしまいますが、それでも1650万円になりそうです。障害基礎年金がこのまま受けられるという前提での見通しなので、もし途中で停止してしまった場合は試算の見直しをすることになります。もちろん、その時は見直しのお手伝いをいたしますよ」

「今まであった心の中のモヤモヤがすっきりしました。どうもありがとうございました」

ご長男はほっとした様子でそう言い、それを見た両親も安堵の表情を浮かべていました。

将来に向けてできるだけ多くの貯蓄をしていくことは大事です。しかし、お子さんの不安を聞いたり意思を尊重したりして、そのご家族にとっての解決策を考えいくことのほうがより大事だと改めて気付かされました。

(写真=iStock.com)
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