兄ばかり厚遇する母親への不平不満を抱く50代の次女
ひきこもりの兄弟がいるせいで親を頼れないため、手持ち資金でどれくらい生き延びられるかを知りたい、と50代前半の女性Aさんが相談にやってきました。
女性は、独身で婚姻歴はありません。大学を卒業して以降、これまでずっと働いて自立した生活を送ってきました。10年前に他界した父の相続で得た貯蓄はあるものの、定年まで10年を切った現在、長い老後を一人で乗り切れるかどうか心配になってきたそうです。ここ20年間は非正規社員のため収入など待遇がよいとはいえず、今後、家賃が値上がりしたり、病気などで働けなくなったりすることを想像すると、目がさえて眠れないこともあると言います。
相談者のAさんには実家で母(80代前半)と一緒に暮らしている無職の兄(50代半ば)がいます。兄は正社員として勤務していた会社が倒産した後、いわゆるガテン系の短期アルバイトを繰り返していましたが、40歳前後で体力的に難しくなったらしく働かなくなっていました。ひきこもり期間は10数年になります。
実家には部屋が余っているので、Aさんは住居費の負担軽減のために実家へ戻る選択肢があると考えつつも、ひきこもり状態の兄や、その兄を大切にしている母との同居はためらわれます。
将来への経済的な不安と、家族へ助けを求められずにいるモヤモヤが絡み合い、初めての面談は「不安」と「不公平」という言葉のオンパレードでした。
相談者がファイナンシャルプランナー(FP)に、相談料を払ってでも相談しようと思った理由は、身近に相談できる人がいなかったからのようです。
嫁いだ実姉にも友人にも心の内を相談できないワケ
Aさんには姉(50代後半)もいます。姉は結婚していて子育てと義父母の介護で忙しく、実家のことにかまう余裕はなさそうだ、ということです。
実家の母は80代ですが、今のところ健康状態や日常生活に問題はありません。兄と母の折り合いはよく、兄がインターネットショッピングでお米などの重いものを買ってくれることもあるそうです。姉は、母親がこうした状況に満足しているように感じ、ひきこもりの兄の存在を気にかける必要性もないと考えているのではないか、と相談者は言います。
このため正月などに顔を合わせても、姉には相談できずにきました。夫のいる姉が、独身である自分の不安をわかってくれるとは思えない、ということも理由のひとつです。
また、ほかに悩みを打ち明けることができる親族はおらず、友人にも「重い」と思われたくないため相談したくないそうです。