会社役員の父が他界後、母は実家の物件の名義を長男に

会社役員で給与も高かった父は10年ほど前に亡くなりました。その際に、母は、父の退職金を含む預貯金などの一部を相続し、自身の資産は5000万円となりました。また、母は兄に家を継がせるのは「当然」と考えたようです。そのため実家の名義は、兄になりました(実家マンションの評価額は3500万円)。

父が他界した際、母はすでに働けずに無収入だった兄の先行きを心配すると同時に、いずれはまた働くようになって結婚しても自分と同居することを期待したからのようです。さらに、実家に加えてその他の財産も、母の判断で兄のほうへ多く渡ったようです(兄は、働いていた時の蓄えと合わせ、計2000万円の現金を所有)。

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Aさんは「お金に執着しているわけではない」ので、母が決めた父の遺産の分け方を黙って受け入れたそうですが、ずっと納得できない気持ちもあると話してくれました。Aさんの資産は、かつて正社員時代に貯めた貯金や父からの遺産などで計2000万円でした。

ここで、家族関係、資産・家計状況を整理してみましょう。

手取り月額12万円、支出12万円……次女はカツカツの生活

◆家族構成
<実家>母:80代前半、年金生活
長男:50代半ば、婚姻歴無し、大学卒業後13年間会社員、現在無職
<独立>長女:50代後半、結婚して家庭がある
次女(相談者Aさん):50代前半、婚姻歴無し、派遣/パートタイマー
◆資産状況(父の遺産相続後)
母:5000万円
長男:2000万円、実家マンション(評価3500万円程度)
長女:不明
次女(相談者Aさん):2000万円
◆家計状況
母:月の収入・支出に関しては相談者との初回面談時点で、ともに具体額は不明。夫の遺族年金が多めで毎月の収支は赤字ではないことだけは確か。
長男:働いていたときの貯金や父の遺産から、食費として毎月2万円を母へ。パソコンは時々買い替えているらしいが、浪費はしていない模様。実家マンションは父の他界時に相続。
長女:不明だが、困っている様子はない。
次女(相談者Aさん):手取り月額12万円、支出12万円。支出の内1万円は健康維持のためのスポーツジム。生活が本当に苦しくなったらやめると決めている。