※本稿は、大江英樹・大江加代『知らないと損する年金の真実【改訂版 2026年新制度対応】』(ワニブックス【PLUS】新書)の一部を再編集したものです。
75歳まで繰り下げると84%増額
世の中で出回っている記事やFPの人などが公的年金について話す場合、「公的年金は決まった金額しか支給されない」と語られることが多いようです。
ところが、公的年金もやり方によっては増やすことは可能なのです。最もその効果が大きいのは「受給開始時期の繰り下げ」です。
70歳まで繰り下げると42%、そして75歳まで繰り下げると何と84%増額になるというのはかなり大きな数字です。もちろん繰り下げについては注意すべきポイントはいくつもあります。ただ、年金の受取額を増やすという点においては、最も効果的な方法であることは間違いありません。
本稿では、「繰り下げ」以外にも年金の受取額を増やすための方法をいくつか具体的に考えてみたいと思います。まずは、その対象をサラリーマンの場合を中心としてお話をしたいと思います。
給料が上がれば、年金支給額も多くなる
方法1:収入を上げる
サラリーマンが加入しているのは厚生年金です。厚生年金には「定額部分」と「報酬比例部分」があります。65歳になって老齢年金を受給し始めると、定額部分は老齢基礎年金に移行し、報酬比例部分が老齢厚生年金となります。定額部分は文字通り、金額は決まっていて加入していた月数に比例するだけで、収入の額は関係ありません。
ところが報酬比例部分は、名前の通りその人の給与の多寡によって将来の支給額は変わってきます。具体的な支給額の計算方法は日本年金機構のホームページに載っていますので、参考にしていただければ良いでしょう(※1)。
給料に比例して増えるのであれば、当然仕事を頑張って昇給すればその分、将来の年金支給額も多くなります。さらに早くから昇給している方が当然、金額は増えます。
結局、給料の多い・少ないは現役時代の暮らしだけではなく、老後の暮らしにも影響を与えることになるのです。やはり頑張って給料を上げることはとても重要ですね。
※1 報酬比例部分の計算(日本年金機構のホームページ)

