大企業勤め大卒の退職金は平均2000万円

次に2番目の層は「退職金・企業年金」です。これはサラリーマンの場合のみで、しかも会社によってはそういうものがないところも多いです。

これについては「厚生労働省」の調査(※3)によれば、従業員1000人以上の大企業の場合、大卒で35年以上勤続して定年を迎えた人の平均退職一時金の金額は2037万円、高校卒だと同様に現業で勤続して定年を迎えた人の金額は1909万円ですから、大企業ではほぼ2000万円程度と考えておけば良いでしょう。

一方、中小企業の場合は「東京都産業労働局」のデータ(※4)で調べてみますと、従業員数が300人未満で大卒が1446万円、高卒は1092万円となっています。さらに従業員数が50人未満になると大卒で1088万円、高卒の場合は992万円ですから、中小企業の場合は1000万円ぐらいが平均と考えていいでしょう。

※3 令和5年 就労条件総合調査 退職給付(一時金・年金)の支給実態(厚生労働省)
※4 令和6年度 中小企業の賃金・退職金事情 第8表モデル退職金(東京都産業労働局)

したがって、サラリーマンの場合は公的年金に加えてこれらの退職金や企業年金が定年退職後に支給されるということも知っておくべきです。もちろんこの金額はあくまでもデータから出てきた平均値ですので、実際の金額がどうなのかは自分で調べるしかありません。それでも公的年金と合わせると8000万~9000万円ぐらいになるとすれば、これはかなり心強い数字と言えます。

足りない分を貯蓄・投資で備える

そして3層目は、自分で準備する貯蓄や投資等です。これはここまでお話しした公的年金や退職金・企業年金だけでは足りないと考えた場合、必要になってくるものです。もちろん前述したようにサラリーマンと言っても退職金や企業年金のない会社もたくさんあります。そうした場合は、自分での備えは厚くしておく必要があります。

したがって自助努力による老後資産形成はとても重要なことではありますが、順番を間違えてはいけません。まず土台になる公的年金、そして2番目に来る退職金や企業年金、これらの金額を確認し、自分や家族が老後にどんな生活をしたいかを考えた上で、足りないと思うのであれば貯蓄なり投資なりに励めばいいわけです。