「オヤジの会のような場があれば、どんなに助かっただろうか」

荒川会長は現在、病気療養中のため出席できないということですが、その流れは神達副会長をはじめ会員に引き継がれているそうです。また、平日の日中に行うサロンMと土曜の夜の定例会の2つの集まりがあるのは、会員それぞれの介護事情に合わせるため。このあたりも参加者の事情に寄り添った配慮だといえます。

「荒川区男性介護者の会」、通称「オヤジの会」の様子。撮影=相沢光一

「定例会はお酒を飲みながら語り合います。お酒の力を借りないと話せない悩みもありますしね」(神達さん)

こうした数々の気遣いがあるから、オヤジの会に多くの男性介護者が集まるのでしょう。2009年には「男性介護者と支援者の全国ネットワーク」という組織が京都市に設立され、初代代表をオヤジの会の荒川会長が務めました。

介護者が集い語り合う場の必要性とそのネットワーク化を呼びかけてきたことで、各地に会を作る動きが生まれていますが、活動実績があるのは全国でもまだ50団体ほど。誰もが参加できる規模には至っているとは言えず、多くの男性介護者はその存在を知らないのが現状です。

筆者は父親の介護をし、看取りました。虐待をするまでには至りませんでしたが、精神的に追い詰められ怒鳴ったことがあります。その時、もしオヤジの会のような場があれば、どんなに助かっただろうと思いました。

厚労省も調査データを発表するだけでなく、男性介護者の孤立を防ぐ具体的な方策を考えるべきではないでしょうか。オヤジの会のような、良い手本もあるのですから。

(撮影=相沢光一 写真=iStock.com)
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