「アップルクリニック」を展開するのではないか

なおアップルは、ヘルスケア関連アプリ開発のプラットフォームとして「CareKit(ケアキット)」を、ヘルスケア関連のリサーチプラットフォームとして「ResearchKit(リサーチキット)」をすでに事業展開しています。

田中 道昭『GAFA×BATH 米中メガテックの競争戦略』(日本経済新聞出版社)

さらに私が予想しているのは、アップルは、スマートヘルスケアのエコシステムとしてのヘルスキット、スマートヘルスケアのプラットフォームとしてのアップルウォッチやiPhoneを基軸として、リアルな病院やクリニックである「アップルクリニック」を事業展開していくという流れです。アップルではすでに自社製品も活かした社員用のクリニックを展開していることが知られています。社員用で高速PDCAを回し、時機が到来したら広く一般向けに事業展開する可能性は否定できないのではないでしょうか。

アップルでは、アップルウォッチに心電図機能のほか、血圧測定機能、血糖値測定機能まで搭載していくことを計画しているようです。

医療においてもテクノロジーが重要であることは言うまでもありません。グーグルやアマゾンも、プラットフォームをめぐる戦いにおいて、この分野で侮れない相手になるでしょう。それでも最後に指摘しておきたいのは、医療分野のエコシステムやプラットフォームにおいてもっとも重要なポイントは、信頼性や安心感であるということなのです。

田中 道昭(たなか・みちあき)
立教大学ビジネススクール(大学院ビジネスデザイン研究科)教授
シカゴ大学経営大学院MBA。専門は企業戦略&マーケティング戦略、及びミッション・マネジメント&リーダーシップ。三菱東京UFJ銀行投資銀行部門調査役、シティバンク資産証券部トランザクター(バイスプレジデント)、バンクオブアメリカ証券会社ストラクチャードファイナンス部長(プリンシパル)、ABNアムロ証券会社オリジネーション本部長(マネージングディレクター)などを歴任し、現職。主な著書に『アマゾンが描く2022年の世界』『2022年の次世代自動車産業』(以上、PHPビジネス新書)、『GAFA×BATH 米中メガテック企業の競争戦略』(日本経済新聞出版社)、『アマゾン銀行が誕生する日 2025年の次世代金融シナリオ』(日経BP社)『「ミッション」は武器になる』(NHK出版新書)などがある。
(写真=時事通信フォト)
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