「15秒」を超えると頭に入らない

また樺沢氏は、「話は長くなればなるほど伝わらなくなる」という。

「みんな、長く話したほうが細かいことまでよくわかってもらえると思っていますが、それは誤解です。人間の脳はいっぺんにいろいろなことを言われても、それをすべて覚えておくことはできないからです」(樺沢氏)

石田氏は、「テレビ番組のナレーションは15秒以内が基本」だと言う。

「15秒は短すぎると思うかもしれません。しかし実際のところ、30秒のCMは長すぎて見ていられないはず。15秒を超えると集中力が途切れて、内容がすっと頭に入ってこないのです」

そこで重要になるのが「概念化」「抽象化」だと石田氏は言う。

「話の長い人はディテールをもらさず伝えようとする。それより抽象的でもいいので本質を一言で伝え、そのあとに詳細を話すようにしてください」

たとえば体調が悪いので早退したいと上司に伝えるとき。

「昨日、昼間は汗ばむほど暑かったので薄い掛け布団1枚で寝たら、今朝になって寒気がして、熱も出てきたようで……」と延々と説明するのではなく、「すみませんが、早退させてください」と切り出し、「実は熱がありまして」「不注意で風邪をひいてしまったようです」と理由を付け加えるのだ。

とはいえ、いつも必ず結論ファーストである必要はない。たとえば相手と交流を深めるための会話では、あえて結論をうしろに持ってきたほうが場が盛り上がることもある。

「面白い話し方にはいくつか“型”があります。最も単純なのが、“?”→“!”というもの。“なんだろう?”と思わせてから結論や答えを言う。すると相手は“そうなのか!”と驚いたり感心したりするとともに、謎が解けてスッキリする。テレビ番組の構成は、すべてこの繰り返しです」(石田氏)

したがって、「昨日は大変だったんだよ。実はね……」というように、あえて結論を後回しにしたほうがいいときもあるのだ。