【5分】プレゼン、説明、スピーチ……なぜ準備してもうまくいかないか

お坊さんの姿勢は、なぜ伸びているのか

1人で5分も話すシーンといえば、プレゼンや商品説明など。人前で話すとなると、緊張してうまくしゃべれないのも当然かもしれない。

「こんなとき、簡単にできる緊張緩和法がありますよ」と言うのは樺沢氏だ。

「緊張しそうだな、と思ったら、次の3つのことだけ心がけてください。笑顔、姿勢、アイコンタクトです」

人間は笑顔をつくるだけで、ドーパミン、エンドルフィン、セロトニンなどの脳内物質が分泌される。ドーパミン、エンドルフィンは幸福を感じる物質であり、セロトニンはリラックスさせる物質なので、緊張が解けるのだ。

さらに、心がこわばっていると、体も縮こまる。視線は下を向き、猫背になっているはずだ。そこで思い切って背筋を伸ばしてみる。

「セロトニンは抗重力筋をコントロールする物質ですから、姿勢をよくするだけでセロトニンが整います。お坊さんが穏やかで落ち着いた表情を浮かべているのは、よい姿勢でお経を読むからなんですよ」(樺沢氏)

もう1つ心がけたいのがアイコンタクトである。話の要所要所で相手の目を見るだけで、俄然、内容が伝わりやすくなるという。

「笑顔もアイコンタクトも姿勢も、急にやろうとしてもうまくできません。僕は毎朝ヒゲを剃る間を利用して、鏡を見ながら笑顔の練習をしています。トイレに入るたびに鏡に向かってニッコリするのを習慣にするといいでしょう」(同氏)

カップ麺と携帯音楽プレーヤーの共通点

人間の脳は、1度に複数のことを処理できない。だから「笑顔になっているかな」「猫背になっていないかな」ということに意識を向けていると、同時に「失敗したらどうしよう」という心配はできなくなる。

したがって、緊張が緩和されるというわけだ。

「企画の提案は長々と説明してはダメ。一言で短く表現したほうが通りやすくなります」と言うのは石田氏だ。

「たとえばカップ麺と携帯音楽プレーヤーという、一見何の関係もなさそうな商品には、ある概念が共通しています。何だと思いますか?」

それは”自由”。お湯を注ぐだけでいつでもどこでも食事ができるカップ麺と、コンポのようなオーディオ装置や電源がなくても屋外で音楽が楽しめる携帯音楽プレーヤー。どちらもその本質は”自由”なのだ。10年ほど前、日清食品が”freedom”というキャッチコピーでCMを打ったのは、商品の本質を一言で表現した例だといえよう。

「”会いに行けるアイドル(AKB48)””吸引力の変わらないただ1つの掃除機(ダイソン)”など、すぐれた企画は必ず一言で言い表せる。逆に、一言で言えない企画はまだまだということかもしれません」(石田氏)