面接で好印象を残すにはどうすればいいのか。人事コンサルタントと俳優という2つのキャリアを持ち、これまで5000人の採用面接をしてきた岩下宏一氏は「面接は面接官との"共演の場"だ。面接官の気持ちを知ることが不安や緊張を減らす方法になる」という――。

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採用面接をした人数は5000人

私は人事コンサルタントと俳優という2つのキャリアを歩んできました。人材採用で支援したのは大小50社、採用面接をした方の数はざっと5000人。俳優としては劇団四季のライオンキングをはじめとして500ステージほど経験しています。そうした経験から、この記事では「面接官の立場から教える面接のポイント3つ」をご紹介したいと思います。

応募者から「アイスブレイク」を仕掛ける

(1)面接官も緊張している

面接官も人の子です。「今日はどんな人が来るのだろう」「この間はうまくアイスブレイクできなかったが今日は大丈夫だろうか」「的確に話を引き出すことができるだろうか」面接官が無表情なのは、緊張しているからということもあるのです。私も、相手のキャリアがすごいとか、その前の面接がうまくいかなかったという自覚がある時は、内心ドキドキしながら臨んだものです。

そこで、応募者もアイスブレイクに協力しましょう。それには3つのアプローチがあります。

1つ目は簡単な質問をすることです。「ここに座ればいいですか?」「コートはここにかけていいですか?」など、およそ想像がつくことでも、あえて尋ねてみましょう。声を出すことで、自分の気持ちが和らぎますし、取って付けたアイスブレイクよりも効果があります。

2つ目は褒めること。「駅からアクセスが近い」「建物の雰囲気や内装がきれい」「会議室に飾ってある絵がなんだかステキ」「案内してくれた方が丁寧でよい感じ」など、ポイントはいろいろあります。ビルに着いてからはいろいろなところを観察しておきましょう。

面接が始まる前に、それを口に出し、相手に伝えるのです。面接官は、自分の会社を褒められて悪い気はしません。「この応募者はリラックスしているからいろいろ話せそうだ」と、ほっとするのです。

応募者も、観察に集中することで緊張を和らげられます。「相手の良いところを見つけられた」「口にすることができた」という小さな成功は、安心にもつながります。