セーフティネットとして大学をつくる
【小池】日本では65歳以上の方を高齢者と呼びますが、今、国の高齢化率は27.7%。4人に1人が高齢者なんですね。
【萩本】東京でもお年寄りがどんどん増えてきていますよ。
【小池】ええ。東京の高齢化率はまだ23%で全国より低いんです。だからといって若い人が多いわけではありません。むしろ、これから戦後のベビーブームの世代が一気に75歳を超えてくるのが2025年に迫っています。
【萩本】それがオリンピックの5年後の東京の姿なのか。
【小池】年齢って、嘘をつきませんからね、私もよく38歳だと言い張ってるんですけど(笑)。
【萩本】知事の見た目なら38歳でもいけると思いますよ。
【小池】ありがとうございます。でも心理学者によると、出まかせの数字を言うときは3と8の数字が入るそうですよ(笑)。冗談はさておき、超高齢社会の到来は避けられない事実です。だから、東京都でも医療や介護の不安をどうするのかが大きな課題で、さまざまなセーフティネットをつくっていかなければなりません。そのなかで私が大事だと思っているのが、お年寄り自身に居場所や「社会から求められているんだ」という実感を持ってもらうこと。その中でさまざまな活躍をしていただくことなんです。そのために都はいろいろなサポートをしてまいりますが、「プレミアム・カレッジ」はその重要な試みの1つなんです。
【萩本】病院や老人ホームをつくるのと同じように、大学をつくるというのは面白いですね。
【小池】最近、大企業の技術者の方がリタイアした後、アジアの企業から「知識を提供してほしい」と退職金の何倍ものお金で雇われる事例も多いんです。せっかくの知識や経験を、日本のために生かしてもらえたら、なお素晴らしい。だから、こうした大学での試みと合わせて、技術や知識を持つ方々の起業支援も行っていきたいんですよ。