【萩本】でも、ぼくのようなおじさんが、明日も会える人がいる人生ってどんなものだろう? そう考えていたら、ずいぶん前、野球解説者の中畑清さんに呼ばれて駒澤大学で講演をしたことを思い出したんですよ。そのとき、大学のスタッフに冗談で「この大学、来ちゃおうかな」と口約束をしちゃったの。70歳になったころにそのことを思い出して、大学生になってみようかなあ、とふと考え始めたんです。

2019年4月に開講する「プレミアム・カレッジ」の概要を説明する小池都知事。それに対して現場を知る欽ちゃんが述べた感想を、興味深く聞き入っていた。

【小池】受験勉強はなさったんですか?

【萩本】知り合いに予備校の先生がいて、家に教えに来てもらいました。「先生の教え方が悪いから、なかなか覚えられない」なんて注意しながら勉強に打ち込むと、すごくはかどることがわかった(笑)。

【小池】大学に入られてから、授業にはどれぐらいの頻度で出ているんですか。

【萩本】授業は休んだことがほとんどありません。タクシーで通っているんだけれど、以前に運転手さんがぼくに気づかず、「欽ちゃんは来ているかい?」と聞いてきたことがありました(笑)。「来ているよ」と言ったら、「へえ、遊びじゃないんだねえ」と驚いていましたよ。賑やかしで大学に行くのは嫌だし、みんなへの裏切りになるから、授業は一切休まないんです。

【小池】それは立派!

【萩本】この前嬉しかったのが、野球を観にいったら、窓口で「学生料金ですね?」と聞かれたんです。これまでは「シニア料金」を払ってましたから。

【小池】窓口の方は欽ちゃんが大学生だって知っていたんですね。

【萩本】そうなんですよ。まあ、その話をテレビ局のプロデューサーにしたら、「これからギャラもシニア料金ではなく学生料金でいいですか?」なんて言うふざけた奴もいたけれど(笑)。