世は空前の城ブームだ。「城めぐり」のどこが面白いのか。城を舞台にした歴史小説をいくつも発表し、全国600以上の城を訪ねたという作家の伊東潤氏は「城を紹介するホームページに載せる原稿を作っているうちに、専業作家になってしまった。城めぐりには『歴史との対話』という楽しみがある」という。観賞のポイントを解説してもらった――。
山中城(静岡県三島市)の障子堀

クリスマスイブに老若男女2万人を集めた「お城EXPO」

ここ数年、空前の城ブームが訪れています。書店には城に関するさまざまな本が積まれ、テレビでも関連番組が毎週のように放送されています。

メディアだけではありません。昨年12月22日から24日にかけて横浜で開催された「お城EXPO2018」は、3日間の来場者数が約2万人と過去2回を上回るほど盛況でした。

出展ブースコーナーには、地元の城をPRしたい自治体や「お城グッズ」を販売する出店が軒を連ねたほか、城にまつわる貴重な遺物や古文書の展示、有識者による講演会(私も「関東戦国史と城郭攻防戦」というテーマで登壇)、小中学生による自由研究コンテストなど、城をテーマにした催しが開かれ、大いに盛り上がりました。

ブームのきっかけは「日本100名城」スタンプラリー?

現在の城ブームの嚆矢(こうし)となったのは、2006年に公益財団法人日本城郭協会が発表した「日本100名城」だと思います。それまで城めぐりというのは一部の好事家(こうずか)だけの趣味でしたが、スタンプラリーを開催して「100城クリア」という数値目標を設定することにより、チャレンジしてみようという人が格段に増えました。日本人は数値目標を与えられ、それを成し遂げることで達成感を得られるものが大好きなのです。

そのスタンプラリーの過程で城の面白さに魅了された方々が、100名城以外にも行き始めたのが昨今の城ブームのベースになっていると思われます。最近では、城めぐりから入って歴史好きになった方も出てきているほどです。

私が昨年から主宰している「伊東潤の城めぐり」の会でも、参加者は中学生から75歳の年配者、さらには外国人の方など多岐にわたっていますが、皆さん目を輝かせて遺構を見学し、私の解説にも耳を傾けてくれます。

▼関連イベントのお知らせ
伊東潤氏の新刊『歴史作家の城めぐり』の出版を記念して講演会を行います。関東地方にある知られざる名城の紹介と見どころに加え、関東の主要な合戦を城郭攻防戦を通して探っていきます。
日時:2019/2/26(火)19:00~20:30(18:30受付開始)
場所:プレジデント社 セミナールーム(東京都千代田区平河町2-16-1 平河町森タワー13階)
参加費:無料(書籍購入者のみ。書籍あるいは電子書籍のリーダーをご持参ください。当日会場受付でも販売いたします)
申し込み:イベントレジストよりお申し込みください。