ビジネスマンは常に勉強に追われている。資格取得にスキルアップ、新しいプロジェクトに抜擢されれば畑違いの業界知識も学ばなければならない。しかし、仕事をしながら勉強時間を確保するのは難しい。疲れた体を引きずってスクールに通っても、目に見える成果はなかなか出ない。短期間で成果をあげる勉強法はないだろうか。

「講義を受けて勉強する際に使う時間を、予習・授業・復習の3つに分けて考えましょう。普通の人は授業が一番で予習が二番、復習が三番目と考えていると思います。しかし、私は復習がもっとも重要で予習が二番。授業は勉強をするきっかけにすぎない。どんな知識も、復習をしなければ定着しませんよ」

こう語るのはハーバード経営大学院に留学経験のあるライフネット生命副社長の岩瀬大輔氏。岩瀬氏は成績上位5%に入り、成績最優秀称号を受けて同大学院を卒業した。

「ハーバード時代も復習を重視していました。勉強は消費するものではなく、ストックするもの。自分の血肉にしなければ意味がありません。ビジネス書も何冊も読むより、一冊を熟読したほうがいい」

脳神経科学分野のPh.Dも持つヤフーのCOO室室長、安宅和人氏は効率的な勉強法についてこう説明する。

「知識・資格系の勉強は、何を理解すべきかをどれだけ早く認識できるかにかかっています。何を理解すればこの領域を大体つかんだことになるのかを知ったら、そこに集中してそのほかの瑣末な部分に時間をかけないことです」

一番いいのは、「似た境遇にいながら自分よりもできる人を見つけること。自分と何が違うか、どこが勘所か、全体を体系的にどう捉えるかを聞くこと」という。

「新しい分野に取り組むときは、素朴な疑問が浮かんでくるもの。それを聞けるのもメリットですね」(安宅氏)

どんな分野でも、ここを理解し整理できれば流れが急によくなって自然に頭に入ってくるポイントがある。何合目にいるかも不案内な自分一人で探し当てるより、前を登っている先達から聞き出すほうが手っ取り早いのだ。