せっかちで、すぐイライラしだす
「ゴーンさんは当時の日産幹部には絶対にできなかった仕事をした。会社に何かあっても、ゴーンさんが何とかしてくれる。そんな安心感があった」
そう振り返るのは、20年以上日産に勤めた男性だ。一方でただひとつ、その男性も不満に思っていたことがある。それはゴーン容疑者の給料の高さだ。
「“コストカッター”のゴーンさんが来てから経費が切りにくくなった。それでも会社のためと思ってはいるが、さすがにあの給料は高すぎる。現場が踏ん張るなか、業績が低迷したときですら、同等の給料をもらっていた」
ゴーン容疑者の給料は株主からもたびたび「高すぎる」と指摘された。しかし「自動車産業はサバイバル競争に突入しており、グローバル企業は世界基準で報酬を払う必要がある」と一蹴していた。
そんななか、ゴーン容疑者と関わりを持つ日産関係者は「ゴーンに対する忖度が社内にあった」と打ち明ける。
「何か問題が起きたとき、社内では常に『ゴーンなら、どう対応するか』と考えていた。ゴーンは教科書で、ある意味教祖的な存在。周囲はつねに気を使っていた」