社員の忖度はいつ現れるのか。

「やり手のイメージの一方で、ゴーンには独特な怖さがあった。たとえば、ゴーンはよく工場見学に行くが、見学先に選ばれた工場は秒刻みでスケジュールを組んだり、休憩場所を設置したり、不自然なくらい準備に力を入れる。ゴーンはせっかちで、少しでもダラダラすると怒りだす。怒るとその工場の評価が落ちるので、現場は必死になる」

青山学院大学の八田進二名誉教授(会計監査論)は今回の事件に関し、「内部統制の限界だ。日産にゴーン容疑者に対して物を言える監査や社外取締役がいたのか」と指摘する。

「5年間にわたり、計数十億の不正があったのに気づけなかったのは、有価証券報告書の内容について検証すべき監査役が何をしていたのか疑問が残る」

一部報道によると、オランダに設立された日産の子会社が海外の高級住宅などを購入し、ゴーン容疑者に無償で利用させていた。「そもそも、その海外子会社に経済合理性はあったのか。いくら現場に倫理観がある人間がいても、上から決裁が出てしまえば従わざるをえないのが現状だったのでは」。

日産にゴーン容疑者を止められる人はいなかったのか。

▼編集部おすすめの関連記事
本を信じて"不振会社"を買い破産した素人
(写真=iStock.com)