介護費用の平均月額は、公的介護保険の費用も含め在宅介護で約6万9000円(家計経済研究所)だが、在宅介護の最大のポイントは介護保険の利用限度額を死守できるかにかかっている。

遠距離介護を支援しているNPO法人パオッコ理事長の太田差惠子氏は「どのような介護サービスを必要とするかは要介護者と、その家族が選択すること。『いくらかかるか』ではなく、『いくらかけられるか』を考えるべきです」と指摘する。

介護の必要度が高まるにつれ、介護にかかる費用はふくらむのが一般的だ。公的介護保険サービスの利用者の負担を軽減させるものとして、自己負担額の合計が一定の上限を超えたときに払い戻される「高額介護サービス費の支給制度」や1年間に払った医療費と介護費を合計した額が一定の限度額を超えたときに払い戻される「高額医療・高額介護合算療養費制度」がある。

介護では「施設介護」も大きな選択肢のひとつ。親の介護に追われ、妻は働きに出られないうえに、介護疲れに陥るケースも多い。できれば自宅で看てあげたい、と考えていても限界はあるもの。そこで、施設に入所させようとしても、生活保護を申請するほどではないものの有料老人ホームに入れるほどの経済力に乏しく、子どもに支援するゆとりがない場合はどうしたらいいのか。

「施設入居は無理」とあきらめる必要はない。高齢者施設には有料老人ホームなど「営利」を目的にしたものと、「福祉」が目的の「介護保険施設」といわれる「特別養護老人ホーム(特養)」や「介護老人保健施設(老健)」などがある。

▼「福祉」目的の高齢者施設
【特別養護老人ホーム(トクヨウ)】
●対象:要介護3~
●料金目安:5~15万円/月

常に介護が必要で在宅での生活が困難な高齢者が対象。食事・排泄・入浴など日常生活の介護やリハビリが受けられる。
【介護老人保健施設(ロウケン)】
●対象:要介護1~
●料金目安:6~17万円/月

病院と自宅の中間施設。医学的な管理のもと、リハビリで在宅復帰を目指す。特養の待機に利用する人も多い。
【介護療養型医療施設(リョウヨウガタ)】
●対象:要介護1~
●料金目安:6~17万円/月

急性期の治療が終わり病状は安定し、長期間の療養が必要な高齢者が対象。医療施設(病院)なので医学的ケアが手厚い。
【ケアハウス】
●対象:一般型……身の回りのことができる人
●介護型……要介護1~(一般型は+介護費)
●料金目安:8~30万円/月

家庭環境や経済状況などで自宅での生活が困難・不安のある高齢者が対象。「一般型」と介護体制の整った「介護型」ある。
※太田差惠子氏の話をもとに作成

「これらの施設には、入居者の所得などに応じて軽減制度があります。介護保険で『特定入所者介護サービス費』として居住費と食費の減額を受けることができます。居室にもよりますが、年金受給は国民年金だけという親でも支払えるくらいの額になります」(太田氏)