2013年創業のフリーマーケットアプリ大手のメルカリが、2018年6月19日に東京証券取引所の新興企業向け市場「マザーズ」に上場した。上場日の時価総額は一時、8000億円を超え、18年の上場企業の中で最大だ。山田会長に創業時の思いや今後の方針を聞いた。
メルカリ会長兼CEO 山田進太郎氏

マザーズ時価総額一時8000億超、狙うは世界制覇!?

もともと旅行が好きで世界中を回っていました。2010年、私が創業したソーシャルゲームのウノウを米ジンガに売却したあと、会社も辞めて次の方向性を考えていたとき、「会社をつくったら、また旅行ができなくなる」と思って、12年初頭から、アフリカや南米、中東など新興国や途上国を回る旅に出ました。

その旅を終えて年末に帰国したとき、とても驚いたのは日本でスマホが急速に普及していることでした。旅に出たときは、日本はまだガラケーが中心。ところが、1年も経たないうちに、多くの人がスマホでLINEを使って会話をしているのです。

新しい時代の到来を確信した

そのとき、新興国も含め、これから間違いなく全世界の人がスマホを使うようになると確信しました。スマホを使えば、モノやカネのやり取りをもっと効率化できる。当時、日本ではパソコン向けのインターネットオークションサイトが停滞する一方、スマホのフリーマーケット(フリマ)アプリは女性向けのアパレル関連を中心に流行っていました。そうした中、もしオールジャンルで簡単に出品できてすぐに売れ、しかも安心・安全で決済も一緒にできるフリマサービスならいけるのではないか。そう思って13年2月、メルカリを創業したのです。

ベンチャーキャピタルを手がけるユナイテッドに話をしにいったのは、アプリリリース後、1カ月も経っていないときでした。もともとユナイテッドでは、「CocoPPa」(ココッパ)という女性向けのスマホの壁紙やアイコンをきせかえることができるアプリをつくって、グローバルでも成功しており、「何か一緒にできないか」という話をしにいったのです。

そのとき、先方は一緒に事業をすること以上に、出資に興味を持ってくれました。当時私は、9月に3億円の資金調達をするつもりでいました。通常、資金調達は時間のかかるものです。こちらもまだアプリをリリースしたばかりで、具体的に見せられる数字は十分にない状態でした。にもかかわらず、ユナイテッドは事業計画書を見て、3億円の出資を即決してくれたのです。