事業計画書がシンプルすぎるわけ

事業計画書をつくるうえで気をつけたことは、「わかりやすさ」です。私はこれまでも新しい事業をつくる過程で、多くの失敗を経験してきました。そこから学んだことは、わかりやすく伝えられることが重要だということです。結局、ぱっと聞いて、誰もが何なのかわかるサービスでないと、一般の人に使ってもらえません。どんなサービスなのか、一言で言えるのがいいサービスだと思っています。それはBtoBだろうがBtoCだろうが変わらない。だからこそ、事業計画書はシンプルなものがいい。誰が見ても、確かにそうだと思えるものをつくればいいのです。

2018年6月19日にマザーズに上場し、セレモニーで鐘をたたくメルカリの山田会長。(AFLO=写真)

例えば、ウノウのときにつくった「まちつく!」であれば「街を育てていくケータイゲーム」みたいに、誰が聞いても、「あっ、なるほどね」と思えて、かつ「何か、ちょっと面白そうかも」というふうに思ってもらえるっていうところがないと、やはり使ってもらえないと思っています。

ただ、シンプルではありますが、論理構成はしっかりしていたほうがいい。例えば、メルカリの事業計画書では、サービスの「特徴」「経営陣」から始め、なぜそのサービスを始めるのかという「Why」、参入する市場が拡大する「理由」、競合の「状況」、新サービスの「内容」、その結果として目指すべき「世界」を説明しています。

「競合の状況」については、アメリカのインターネットオークションサイトである「eBay」(イーベイ)の流通額が月約6000億円、日本の「ヤフオク」の流通額が月約500億円ですよというのを1行書いただけでしたね。

それから、私の事業計画書の特徴は、とにかく文字が大きいということかもしれません(笑)。私の場合、一枚当たりの文字量を減らして、余計なことは一切書かない。できる限りシンプルに見せることを心掛けています。