悪いイメージの「知ったかぶり」。しかし、「知らない」とは言えないときもある。少ない知識のごまかし方とは? 数々の修羅場を乗り越えた猛者たちが秘訣を明かす。

無知扱いがイヤなら、とにかく喋るべし

よく理解していない話題で会議が盛り上がり、突然意見を求められた。それらしく相槌を打っていただけに、今さら「実は何も知らないんです」とは言えない状況だ。何か発言しなければいけない中、どうすれば無知だと思われずに済むか。『アルティメット人狼』『たほいや甲子園(こうじえん)』など、参加者が騙しあう人気イベントを主宰する眞形隆之氏に、知らないことを悟られないコツを聞いてみた。

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「ボロが出るのを恐れて全く喋らないと、結果的に『この人、何も知らないんだな』という印象が強く残ります。沈黙を恐れず、とにかく何か喋ったほうがいいですね」

そこで効果的なのは、質問だ。たとえば株についてよく理解しておらず、その手の話題になったときは、「最近株ってどうなんですか? 何か注目されている株はありますか?」と逆に質問を重ねていく。相手がいろいろ話すうちに知っているキーワードが出てくれば、そこを糸口に自分から話すようにすればいい。

「『それ気になっていたんです。もっと教えてくれませんか?』と聞いてもいいでしょう。ほぼ知らないと告白しているようなものですが、興味を示したことで、話題に対して無関心・無知というイメージが払拭されます。口にしないよう気をつけたいのが、『わかりません』の一言。興味もないし、何も知らない、と思われます」(眞形氏)

つまり知識が完全に皆無の状態では、相手にある程度話をあわせて、知ったような会話を続けるのは難しいということ。聞き慣れないキーワードでも、それが経済用語なのかスポーツ用語なのか、どのカテゴリーに属するのかという、うっすらとした知識は求められる。

▼それらしい雰囲気でプレゼン
・誰も覚えていない詳細を語る
 眞形氏によれば、「注目度が低く、覚えてもいないようなことを詳細に語ると、事実だと信じ込ませやすい」という。
 たとえば「1年前の会議で、最初はAさん、次にBさんが発言しました」と自信満々に語る。それがウソでも聞いている側は検証のしようがないため、「そんなに細部を覚えているなら、本当なんだろう」と信じてしまう。
 もし分厚い書籍を読み込む必要があるのなら、本題から離れた枝葉の部分を見つけ、一点集中で暗記。その詳細について力強く語れば、読破したかのような雰囲気を演出することができる。
・持ち込むべきは、得意分野
 漠然とだけ把握している事実を説明する場合、話題をずらして得意分野に持ち込むと、ハッタリを通しやすくなる。
「たとえば競合他社との業績比較がわからなければ、好きなプロサッカーのリーグ戦に置き換えて『A社がこのチームで、社長を監督とするなら……』と説明していく。本題に関するファクトが曖昧でも、たとえた対象に関する知識が深ければ、まるで成立しているかのように聞こえてきます」(眞形氏)
 注意すべきは、ふざけた雰囲気をつくらないこと。大真面目に語るからこそ、説得力が生まれるのだ。
・テンションは常に一定で
 ウソをついてごまかそうとする人にはタイプが2つある。注目を浴びないように行動が控えめになる人と、その逆張りであえて目立とうとする人だ。しかし人騙し系のゲームにおいて、行動が過剰な人は何かを隠そうとしている可能性が高く、疑われやすい。
「同様に、行動に何らかの起伏があるのも、ウソをついているサインですね。たとえば喋りに濃淡が見られる人。自信のあるところで饒舌になり、自信のないところでは口数が少なくなる。知ったかぶりをする際にも、注意すべきポイントになるでしょう」(眞形氏)