クイズ王に学ぶ、情報収集術

それでは情報を幅広く収集するために、博覧強記と呼ばれるクイズ王は、どんなことをしているのだろうか。さまざまなクイズ大会で優勝し、現在はクイズ作家として活躍する日高大介氏は、「いつでもあらゆるクイズに解答できるように、未知のキーワードには敏感でいます」と語る。

「たとえば社会的なニュースなどの時事ネタは、常に勉強して知識を更新しておく必要がありますが、興味がない分野だとなかなか頭に入ってきません。そこで私がお薦めしたいのが、小・中学生向けの新聞を読むこと。難しい言葉や時事用語を取り上げる際、その意味を併記しているため、単語の意味がわからないから調べる、といった手間が省けます」(日高氏)

勉強に集中する時間をつくらなくても、日常生活の中で時事ネタを拾うことも可能だ。日高氏が普段よく行っているのが、電車内で週刊誌の中吊り広告をチェックすることと、コンビニの雑誌売り場で表紙を斜め読みすること。中吊り広告や表紙にはそのときの旬のキーワードが厳選して取り上げられており、自分で取捨選択しなくても時事ネタをまとめて知ることができるという。

またニュースのような全般的な知識を身につけるのではなく、ピンポイントで名著の内容を素早く知りたいような場合、どうすればいいのか。

「インターネットで検索するのであれば、複数のサイトを見て、重複している部分に注目すると効率がいい。マンガも実用的ですね。古典と呼ばれる名著は、最近マンガ化されていることが多いため、書籍を読むよりも早く概要をつかむことができます」(同)

▼手間を省いて情報収集
・個人サイトを読み比べる
 未読の書籍などを短時間で要約する必要がある場合、まず頼るのはインターネットだろう。その際、マスメディアのサイトのような公式の情報だけでなく、好きが高じてその作品を解説しているような個人ブログも役に立つ。
「まず書籍タイトルに『あらすじ』や『要約』を追加して検索し、よさそうなサイトを5つほど読み比べましょう。すると内容が重なる部分が必ずあります。そこは誰もが印象に残る重要な箇所と考えていい。ここを強調して組み合わせれば、ツボを得た要約を短時間で作ることができます」(日高氏)
・侮れない「小学生向け」
 時事ネタを素早く把握するのに、日高氏が薦めるのが、小・中学生向けの新聞だ。
「難しいワードには必ず意味が併記されているので、取り上げられている事象を的確に理解できます。同じく子供用の図鑑も、細分化されて非常にわかりやすい」
 教養として古典的名著の内容を知っておきたい場合は、マンガが有用だ。『まんがで読破』シリーズ(イースト・プレス)は、文学、経済学、科学、歴史書、自伝など、幅広いジャンルを100冊以上網羅。マンガによる要約だが完成度が高く、文庫本サイズで値段も安い。
・クイズ感覚でキーワードを拾う
 ニュース番組で気になる情報が流れたとき、画面をスマホなどのカメラ機能で撮影してみよう。最近のニュースはテロップが表示されるので、後で見返すと、主要なキーワードを文字情報として押さえられる。
「テロップはコロコロ変わるので、すべての情報が記されるわけではありませんが、それは逆に覚えるチャンス。たとえば芥川賞・直木賞受賞の発表で、片方の作家名だけ記されていたら、「もう1人は誰?」というクイズに見立てて覚える。思い出せない場合、調べる一手間がかかりますが、頭には残りやすい」(日高氏)