「独学では勉強できない」という思い込み
多くの人は、「独学は難しい」と思い込んでいます。社会人になってから勉強する場合にも、学校に通って講義などを受ければ自動的に知識が身につくけれど、独学ではそうはいかないと考えます。
独学では、何を学ぶべきかというカリキュラムを自分で作る必要がありますが、それは大変だと考えます。あるいは、勉強を続ける強制力が働かないため、途中でギブアップしてしまうのではないかと、心配になります。
ただし、「独学より学校がよい」という考えは、多くの場合、長所・短所を深く考えた末の結論ではありません。「勉強とは、学校に通って教室に座り、先生が教えるのを聞くことだ」という学生時代からの習慣を引きずり、「独学で学ぶ」という選択肢を、最初から考慮していない場合が多いのです。
つぎのような意見もあるでしょう。「世の中には独学ができる人とできない人がいて、独学ができる人は、人から言われなくても独学する。それに対して、独学ができない人は、いくら独学を勧めても、その能力がないのだから、できない」「独学の方法を人に教えられるというのは、そもそも矛盾だ」
しかし、これらの考えは間違っています。すでに述べたように、「独学では勉強できない」というのは、単なる思い込みであり、その考えを変えるチャンスに恵まれなかっただけのことです。
社会人の勉強は「焦点を絞って」
独学の大きな利点は、自分の事情に合った勉強ができることです。自分に必要なものだけを重点的に、また、自分の都合のよい時間に学ぶことができます。
初等教育での教育内容は、誰にとっても必要なことであり、社会に入るための最低必要条件です。しかし、社会人になってからの勉強では、学ぶべき内容や条件が人によって大きく異なります。「何をどれだけ知ればよいか」は、人によってさまざまで、この点が、学校教育の場合と大きく違います。したがって、さまざまなことについて「広く浅く」勉強をするのではなく、「知るべきことに焦点を絞って」勉強することが必要になります。