バイトリーダーが現場で王様のように振る舞える理由
その後も彼女の態度は悪化する一方だった。
「同時に大勢の客が訪れた際、バックヤードで事務作業をしていた私は現場のヘルプに入ろうとするのですが、彼女は必ず拒否しました。明らかに人が足りていないので強引に手伝っていましたが、私が『現場にくると余計混乱する』そうでして。さらには全員参加が必須の新商品の研修会にも無断で欠席したり、若手バイトには『社員は無視して自分の言うことに従え』と指導したり、とにかくやりたい放題でした」
もちろん、これには現場も混乱した。バイトリーダーと社員・太田さんの2つの指揮系統ができてしまったため、アルバイトはどちらの指示を聞いてよいのかわからずトラブルも増えたという。その後入った社員もバイトリーダーと馬が合わず退職し、自身も精神的に摩耗していったという。
このような事態に対して太田さんがアクションを起こさないわけがなかった。当時上司だった店舗マネジャーに自身の部署異動もしくは彼女を解雇するよう遠回しに懇願した。だが、「彼女はオープニングスタッフで今では発注も担当している。現場の全ジョブローテーションも終え、新人教育もできるから強くは言えない」と申し出は一蹴された。
そんな中、上司は1度彼女に社員登用の相談をしたが、彼女は断った。
「バイトは急に休むことも日常茶飯事。その分の仕事を社員が補填するので本来は午後5時終わりでも深夜残業や休日出勤も珍しくありませんでした。社員の辛さを見ていたバイトリーダーは、現場で王様のように振る舞える自身の立場を手放したくなかったのでしょう」
バイトリーダーからの嫌がらせは日に日に強まり、結果、太田さんはわずか8カ月で退社を決めた。
「その後、問題のあったバイトリーダーは新しいマネジャーが彼女の勤務態度の悪さを理由に解雇しました。しかし、彼女は業務の核を担っていた存在。辞めてからは社員が半年間ほぼ無休で働いたそうです」