若手社員がベテランバイトと良好な関係を保つ5つのコツ

景気が悪くなったときにアルバイトを簡単にクビにできないことは、リスクと会社は考えているようだ。もう1つ懸念点はある。5年以上勤務したアルバイトは、何年も同じ仕事をすることになり、昇進や昇給もしない事態が生じるかもしれない。

「もちろんそれもありえます。一方で、今後は同一労働・同一賃金の法制化も予定されています。同法では、同じ仕事をし、同じ責任を担っているのであれば、会社は正社員であるのか、バイトであるのかといった身分にかかわらず、被雇用者に同じ処遇を保障しなければなりません。それによって、伊藤さんのようなベテランのアルバイトには、正社員と同等の給与や賞与の支給義務などが生ずることになってきそうです」

会社側としては人件費の高騰は避けたいのが実情だろう。今回のケースでは各職場とも、安い賃金で雇えるからという理由で現場の大半をアルバイトが占めていた。双方のトラブルを防ぐ策はほかにはないのか。

「アルバイトよりひとつ上の処遇をつくるのもひとつの方策ですね。バイトリーダーのように様々な仕事を任せる場合、バイトと社員の中間にあたる“準社員”という雇用形態を導入する会社も見られます。アルバイトを束ねるのは準社員、さらに全体をマネージするのは正社員。仕事の権限と雇用形態を細かく分けることで太田さんの職場で見られたようなバイトリーダーの暴走を防げるかもしれません」

▼若手社員がベテランバイトと良好な関係を保つコツ
(1)“使っている”意識を捨てる
スタッフを「自分の仕事を助けてくれる人」「企業に貢献してくれる人」と考えるのがベスト。「人を使っている」という意識だと、知らないうちに言動に出てしまうことも。
(2)年上だからと気を使いすぎない
年長だからといって、気を使いすぎて注意ができなかったり、他のスタッフとの接し方に差をつけすぎたりすると、若いスタッフたちが不満を抱くことも。体力面への配慮以外は平等に接するべし。
(3)“人生の先輩”に敬意を
仕事では部下でも、人生でいえばベテランバイトは自分より先輩。「人生経験の豊富な方として、認めています」という気持ちを持とう。気持ちを変えればベテランバイトのよさが見えてくるかも。
(4)とにかく話し合う。そして柔軟に対応する
同業種を経験してきたベテランバイトには、「前の職場では○○だったのに、なぜこの職場では違うのか?」と疑問を持つ人も。正しければ意見を取り入れるなど柔軟に対応しよう。
(5)名前をしっかり呼ぶ
スタッフ数が多くても、「バイトさん」「パートさん」などと雑に呼ばず、きちんと名前で呼ぶこと。個として尊重していることを示すことができる。
(6)あいさつ+αを心がける
「おはようございます。昨日は遅くまでお疲れ様でした」「お疲れ様です、今日はあの仕事を終わらせていただいて助かりました」など、あいさつに一言、ねぎらいの言葉などをプラスする。
稲好智子
フォーブレーン代表
特定社会保険労務士、産業カウンセラー、キャリアコンサルタント、メンタルヘルス法務主任者。企業の人事労務に関するコンサル業務などを経て2005年に独立。
 
(撮影=横溝浩孝)
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