子供を「上流ロード」に乗せるには、なにが有効なのか。「プレジデント」(2017年2月13日号)では、子育てをめぐる13のテーマについて識者にアドバイスを求めました。第9回のテーマは「医学部」です――。

医学部合格者に中学受験経験者が多い理由

親の時代に比べ、現在の医大合格は非常に難しくなっています。地方の国公立医学部へ合格するには東大理系に受かるレベルが必要で、私立でも日大医学部には約4500人が応募し、最終的に入学できるのは100人程度という高い競争率です。英数は高い水準でできないとダメ。しかも二次試験では大学で学ぶような内容や答えがない難解な問題が出題されます。高校生になってから医大受験に取り組んでも難しいのが実情です。

写真=iStock.com/ferrantraite

なかには高校3年生から一気に偏差値が15、20と急に伸びる子もいますが、そうした子にほぼ共通しているのは中学受験経験者であることです。

では、なぜ中学受験経験者は伸びるのか。

学問は思考の枠組みで成り立っており、その枠組みにどう当てはめて考えられるかが重要です。単に知識を詰め込んでも頭の中に思考の枠組みが形成されていなければ応用が利きません。受験でとくに重要なのは、「推理能力」「比較能力」「集合能力」「抽象能力」「整理・要約能力」で、中学受験経験者はすでにこれらの能力因子が鍛えられているから伸びるのです。

実際、医大受験の指導をしていると生徒から「この問題、中学受験のときに勉強した枠組みで解けた」といった話を聞くことがあります。

中学受験をしている子とそうでない子では、基礎が大きく違います。できれば小学校受験をさせ、早くから思考の枠組みをつくっておくと後で苦労しません。

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