子供を「上流ロード」に乗せるには、なにが有効なのか。「プレジデント」(2017年2月13日号)では、子育てをめぐる13のテーマについて識者にアドバイスを求めました。第7回のテーマは「東大」です――。
「頭が悪いんじゃない。やり方が悪いんだ」
「自分は頭がいい!」
親が一日10分でできることを考えると、子供にそう刷り込んであげるのが重要です。
私の弟は小さい頃に病気をしたため、小学1年生のとき特別支援学級を勧められるくらい勉強ができませんでした。中学受験ではとても入れる成績ではないのに灘中を受けて落ち、高校は年に1人京大に受かるくらいの学校へ入学しましたが、学校が嫌いでしばしばお腹が痛くなって早退する始末。その高校で弟は高2の段階で180人中60番くらいの成績だったのですが、何を思ったのか「僕の頭が悪いんじゃなくて学校のやり方が悪い。灘のやり方でやれば東大に行ける」と言い出しました。そこで私が暗記数学のやり方や灘の同級生が読んでいた歴史の本などを教えたところ、通っていた高校開設以来2人目の東大文I現役合格者になりました。
私から見るとお荷物のようだった弟が東大に現役合格できたのは、「自分だって灘のやり方でやれば東大に受かる」という根拠のない自信を持ち、かつそれまでとは異なる勉強のやり方を実践したからです。
世の中には最初から「東大に受かる人なんて自分とは頭の出来が違う」と思っている人が多い。でも、最初からあきらめているより「このやり方なら自分も東大に受かるかもしれない」と思って勉強する人のほうが合格する確率は当然高くなります。
だから大事なことはまず根拠のない自信を持たせ、できないときはやり方が悪いんだと思わせることです。私の弟はどうやって根拠のない自信を持てたかというと、母親が嘘つきだったからです。「うちは賢い家系だ」と、本当かどうかかなり疑わしい話を吹き込んでいたのです。
「あなたは賢い」「賢い血が流れている」でも何でもいいから、子供に「自分は賢い」と思わせて損はありません。