書評を書くにあたり、この本だけは担当編集者に電話をし、出版意図を確認した。なにしろ著者は2人の人間を殺め、無期懲役刑で服役中なのだ。著者が隠しているかもしれない、なんらかの目的に利用されてはならないと考えたのだ。

編集者がいうには著者は担当者を指名して、刑務所の中から原稿を送りつけてきたという。出版を決意したのは、面会などを通じて著者の更生が見てとれ、長期刑務所と受刑者の稀なドキュメンタリーとしての価値があると考えたとのことだった。

これほどまでに用心したのは本書の著者が非常に高い知能を持ち、外形的には平均をはるかに上回る教養を持つ人物だからだ。裁判では著者の性格鑑定が行われた。その報告書において鑑定人は「当職は、30年の職歴の中でこのような奇跡的な知能レベルに遭遇することは初めてであり、他の症例を調査しても前例がない」と記している。