書評を書くにあたり、この本だけは担当編集者に電話をし、出版意図を確認した。なにしろ著者は2人の人間を殺め、無期懲役刑で服役中なのだ。著者が隠しているかもしれない、なんらかの目的に利用されてはならないと考えたのだ。

編集者がいうには著者は担当者を指名して、刑務所の中から原稿を送りつけてきたという。出版を決意したのは、面会などを通じて著者の更生が見てとれ、長期刑務所と受刑者の稀なドキュメンタリーとしての価値があると考えたとのことだった。