韓国と北朝鮮との対話の後、米国が続く
韓国は南北首脳会談をどう実現しようとしているのか。読売社説はこう書く。
「平昌五輪で、韓国の文在寅大統領と会談した際に、韓国がまず北朝鮮と対話し、米国がその後に続く方向で合意したという」
「ペンス氏は、文氏から『見返りは非核化の具体的措置に対してのみ与える、と北朝鮮側に伝える』との言質を取ったとして、『過去20年とは異なる』と強調した」
そうだとすれば、米国と北朝鮮の対話が実現する可能性は否定できない。しかしながらしたたかさを貫く北朝鮮である。油断は禁物だ。
読売社説も「1994年の米朝枠組み合意以来、北朝鮮との対話や合意は経済支援などの見返りを与えただけで、問題解決につながらなかった。トランプ政権はこの認識から、北朝鮮の政策変更を対話の条件とする基本的立場を取ってきた」とくぎを刺す。
北朝鮮の「裏の裏」をかくしかない
次に読売社説は「トランプ大統領の北朝鮮に対する立場が定まっていないように見えることも気がかりだ」とも指摘する。
具体的には「『北朝鮮と交渉しようとするのは時間の無駄だ』という強硬発言から、『適切な時期と条件下で対話する用意がある』といった柔軟姿勢まで、ぶれが目立つ」と批判する。
ぶれが目立つのは当然だ。トランプ氏は外交のあり方を理解している大統領ではない。北朝鮮のしたたかさを逆手に取るような頭脳も持ち合わせていないだろう。それゆえトランプ氏の周囲にいる外交のプロ、ブレーンたちがしっかりしなければならない。
さらに読売社説は「不安なのは、文氏が北朝鮮に核・ミサイル開発放棄を迫らず、南北関係進展のために、米朝双方に対話を促していることだ」と強調する。
平昌冬季五輪での文氏の北朝鮮側との接し方を見ていると、この読売社説の不安は決して杞憂ではない。ここで重要なのはしたたかな北朝鮮外交の裏の裏をかくことだ。しかも巧みに、である。
これまでもこの沙鴎一歩が書いてきたように、外交は自国のことを最優先に考えて交渉するのが基本である。ただし北朝鮮に核・ミサイルの開発を断念させるには、「目には目を、歯には歯を」といったような圧力一辺倒の強硬姿勢では決して解決しない。将来、北朝鮮をどのように国際社会に組み入れていくかを考えなければいけない。
毎日社説も米韓の対応に不安を抱く
毎日新聞の社説(2月16日付)は「日米韓の対北朝鮮政策」とのタイトルで「すきを作ってはならない」(見出し)と主張する。
読売社説とスタンスを異にすることが多い毎日社説も、韓国やアメリカの対応に不安感を抱いたようで、ストレートに訴えている。
毎日社説は「対北朝鮮政策をめぐって日米韓3カ国の足並みはそろっているのか。そこに疑問が芽生えている」と書き出し、こう指摘していく。
「(韓国の文大統領は)北朝鮮代表団との会談で米朝対話の必要性を説いたが、核問題には触れなかった」
「ペンス氏は、帰路に受けた米紙のインタビューでは『北朝鮮が望むなら対話する』と語った」
「安倍晋三首相は、五輪後に延期された米韓合同軍事演習を再延期しないようくぎを刺した。これに対して文氏は『韓国の主権問題だ』と不快感を示したという」
そのうえで毎日社説は「対話の目標は北朝鮮に核開発を放棄させることでなければならない」と訴える。その通りだ。