日米韓と中国の包囲網が効いている
後半、毎日社説は「北朝鮮が平和攻勢で日米韓を離間させ、局面転換を図ろうとしていることは明らかだ。中国を巻き込んだ国際社会の包囲網がようやく機能し始め、北朝鮮が負担に感じ始めたからだろう。この流れを逆戻りさせてはいけない」と主張する。
「北朝鮮が負担に感じ始めた」どころか、かなり効いていると思う。やはり日米韓と中国がともに北朝鮮に立ち向かうことが大切なのである。
北朝鮮のしたたかさを十分に理解して学び取ったうえで、さらに日米韓と中国の包囲網を強め、北朝鮮の裏の裏を巧みにかいて核・ミサイルの開発を断念させたい。もちろん裏の裏をかくのは高度な外交だ。だが、どうしたらそれができるかを日米韓がともに考えていかなければならない。
まずは北朝鮮が頼りにしている中国をうまく抱き込むことが重要だ。
キューバ危機の回避が参考になる
たとえばキューバ危機のとき、米国のジョン・F・ケネディ大統領は水面下でソ連のフルシチョフ首相と交渉を重ねてその危機を脱出したといわれる。
キューバ危機とは1962年10月、ソ連が関係の深いキューバにミサイルを設置したために起きたものである。米ソ間は戦争寸前となり、世界中を核戦争の恐怖に陥れたことで知られる。
結局、ソ連のフルシチョフ首相からの申入れで交渉が行われ、米国がキューバへ侵攻しないことを条件にソ連がミサイルを撤去することに同意するなどしてキューバ危機は回避された。
ケネディ大統領の具体的な動きには不明な点もあるが、水面下の交渉がみごとに成功したわけだ。これは米ソ間に衝突を避けようとする意志が強く存在していたからだと思う。
日米韓はこのキューバ危機の回避を参考にして中国と水面下の交渉を進め、北朝鮮の核・ミサイル開発をやめさせるべきだ。その間、北朝鮮との対話を実現し、北朝鮮側の言い分を聞くふりをして時間を稼ぐ手もあるだろう。とにかく北朝鮮の裏の裏をかくことである。