なぜ1人で転んだら、恥ずかしいのか

いち早く指摘したい一方で、上司に対しては言いにくいもの。まず考えたいのは、人はどういうときに「恥ずかしい」と強く思うのか、ということです。心理学の視点で言うと、他人から、「単なる失敗ではなく、その人のパーソナリティのせい」と思われたとき。たとえば、シャツがズボンからはみ出ている様を、「変な人」だと受け取られたとき、恥ずかしさは倍増します。

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部下が上司に指摘する、というシチュエーションであればなおさらです。「パーソナリティゆえの失態」と、下の立場の人間に認識されるのは恥ずかしいもの。いかに上司に恥をかかせないか考えないといけません。

ズボンのチャックが開いたままでクライアントと会ってしまったら、大恥をかきます。意図してチャックを開けている露出狂だと思われたら最悪です。できれば2人だけの場で解決したいものです。

小声で周りに聞こえないように指摘するのが、ベストな方法です。最大限、配慮していることをアピールしたほうがいい。注意したらすぐにほかの話に切り替えるか、その場を離れていなくなりましょう。

もしかすると、「チャック、開いてますよ!」と、ことさらに笑いに変えようとする人もいるかもしれません。しかし、慎重になるべきです。たしかに、「親しい関係」ならそれも可能でしょう。実際に、電車のホームで転倒した際の恥の感じ方について、こんな調査があります。

1人だけで歩いていて転んだときと、友人と歩いていて自分が転んでしまったときを比べると、後者のほうが恥ずかしくないという結果が出たのです。笑いにしたり、場を和ませることで、自分が転んだのが「パーソナリティのせいでの失態」ではなく、偶然、事故だと友達と共有できるから。駅のホームのように周りに人がいる環境では、「ここだけの問題」にしたほうが、周りの人に対して恥を感じない効果があるのです。