ネガティブな気持ちにどう向き合うか

死を恐ろしいと感じる――年齢・性別問わず、人であれば当たり前のことです。これまで心理学では「ネガティブな気持ちにどう向き合うか」について考えられてきました。しかし近年では、21世紀に入って研究が進んでいる「ポジティブ心理学」が注目されています。

簡単に言うと、自分自身が持っている心の強みを発見して、前向きに幸福と人生の充実を目指すのが、ポジティブ心理学。この心理学の新しい領域が、「死への恐れ」と付き合う助けになってくれます。

死を強く感じ、恐ろしく思うのはどのようなときか。人がもっとも死を意識するのは、身近な人の死を経験したときであると調査の結果からわかっています。

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人間の最大のストレスは、配偶者や親、子との死別です。親しい人の死に対峙したときに、自分自身の死を考える。存在への言い知れぬ不安に襲われます。その気持ちを「よい方向」に持っていくことが大切です。人生を悲観するのではなく、自分の中にある譲れないもの、「私はこれを大切にする」という、方向性を見出すことが求められます。

いくつになっても死は恐ろしいものですが、年齢を重ねるにつれ死を意識することは増えていきます。現実に死の場面が周囲に増えるからです。例えば社会人になれば葬儀に参列する機会も増しますが、それは年を重ねるごとに増えていきます。

葬式では、近しい人、親族や祖先を大事にする思いが強くなるものです。そして、それが、制度、文化を守る気持ち、「利他性」にもつながるのです。死を恐れるだけではなく、死を考えることで自分と他者、社会との関わりを前向きに確認する。そうして、自己を確立し、生に価値を見出していくことができるのです。