「適量の飲酒は健康にいい」という根拠
タバコは健康に影響があるといわれる一方、古くから語られてきた「適量のお酒は健康にいい」という考えは、最新の医学では疑問符が付いています。
飲酒の健康への影響を考えるためには、縦軸に健康度(上に行くほど不健康)、横軸に飲酒量(右に行くほど飲酒量が多い)をとったグラフが参考になるはずです。
実は、このようにグラフをとると、飲酒量がゼロの人より、少量の飲酒をしている人のほうが健康という「右肩下がり」が最初に生まれます。その後グラフは右に進むにつれ、つまりアルコールの摂取量が増えるほど、不健康の度合いが高まって「右肩上がり」になります。結果として、少量・適量の飲酒が最も健康的というグラフができあがる。これが、「適量の飲酒は健康にいい」という根拠になっています。
しかしながら、このグラフには盲点があります。そもそも、飲酒ゼロの人には、「アルコールの摂取ができない・禁じられているほど不健康な人」が含まれているのです。彼らを含めて考えているために、「適量の飲酒」が一番健康度が高いようになってしまうというわけです。つまり、飲酒しないにこしたことはない、という結論のほうが有力なのです。