鍋料理など、温かいものがおいしい季節。料理に合わせやすい燗酒を相棒に、寒い季節を楽しく乗り切りたい。ところで、燗酒と一言に言っても、温度に対してデリケートな日本酒は、5℃違うだけで味わいがガラリと変わる。なぜ温度が変わると味が変わるのか、そして燗酒にしておいしい日本酒の探し方を紹介する。

温度変化で知る日本酒の奥深さ

吟醸酒の浸透や、自宅の冷蔵庫で保管すればよいという扱いやすさなどもあり、「日本酒を飲むなら、もっぱら冷酒」というお酒好きが私の周りには多い。ただ、今、若い世代を中心として「温めて飲む酒」の魅力に開眼する人が増えているという。それに呼応するように、燗酒イベントや、燗にこだわって日本酒を出す店が増えているのだ。酒を温めることで旨味が増し、よりまろやかでおいしく感じられる、いわゆる「燗上がり」を体験すると、燗酒にハマる人も少なくない。

燗は、日向燗(約30℃)、人肌燗(約35℃)、ぬる燗(約40℃)、上燗(約45℃)、熱燗(約50℃)、飛び切り燗(約55℃)と、飲む温度によって細やかに名前が変化する。味わいもまたしかり。同じ日本酒でも、温度によって立ち上がってくる味わいはそれぞれ絶妙に異なる。(図表1)