プレジデント誌の好評連載「悩み事の出口」。ライフネット生命保険の創業者・出口治明さんが、読者の悩みに答えます。今回のお題は「心配性の上司」。出口さんは「『報・連・相』は上司を戒めるための言葉ですよ」といいます――。
Q:心配性で「報・連・相」を重視する上司。最小限の努力で安心させるには?
まず「ホウレンソウ(報告・連絡・相談)は部下に求めるものではなく、上司から探しにいくものである」ということを上司に教えてあげましょう。
――どういう意味ですか?
上司の仕事は部下の顔色や動きをよく見て、気持ちを察することです。ですから上司は「俺にホウレンソウしたそうだな」という部下の気配を感じたなら、別の部屋へ連れていくとか、それとなくランチに誘うなどして、部下のホウレンソウを上手に引き出さなければなりません。
――そもそも上司が「ホウレンソウ」の意味を取り違えているのでしょうか。
若い部下から見たら、年の離れた上司は「鬱陶しいおっさん、おばさん」。これが社会の真実であり、上司が理解しておくべきことです。
――でも職場では、「ホウレンソウが大事」と教え込まれますよね。
そうですね。でも、相談者さんの上司のような人を目の当たりにすると「こんなおっさんにホウレンソウする理由なんて、ゴマスリ以外にないだろうな」と思うでしょう。ではなぜ「ホウレンソウという言葉があるのか」と考えてみると、この言葉が部下ではなく上司を戒めるためにあるということに気づきます。
――ホウレンソウを求める上司は、きっと自分自身も過去にホウレンソウをしてきたんでしょうね。だから余計に部下に求める。
ただ、そういう人はきっとプライベートでもモテないですよね。「1日5回ホウレンソウを」と妻に求める夫など鬱陶しくて嫌がられるだけでしょう。
あなたもパートナーや将来の後輩を苦労させないためにも、きちんと上司の悪いところは自覚させてあげるべきです。