専門性重視から必要性重視の時代に
脱法的な印象があるが、企業が法律スレスレのところを狙わざるをえないのは、日本の入管制度が「就労系在留資格は専門性の高い外国人だけに与える」という建てつけになっているからだろう。
しかし、人手が圧倒的に足りないのは専門性の低い単純労働の現場だ。国もそのことは意識していて、入管制度を“専門性”から“必要性”重視にシフトさせようとしている。
象徴的なのは、9月から加わった新しい在留資格「介護」だ。これまで介護は単純労働とみなされ、外国人が介護就労目的で在留することはできなかった。インドネシアやフィリピン、ベトナムから介護福祉士候補者を受け入れる仕組みはあるが、EPAという経済連携の枠組みであり、数も少ない。このままでは介護現場が崩壊するのは明らかだ。
そこで国は入管法を改正。留学生として来日して2年間勉強して介護福祉士の資格を取れば、在留資格を「留学」から「介護」に変更して介護職に就けるようにした。更新も可能で、ゆくゆくは永住のチャンスもある。
「介護福祉士という国家資格の取得を条件にしたことで、専門性が必要という建てつけを維持しつつも、現場のニーズに応えるかたちになりました。今後も、在留資格に求められる専門性は緩和される方向で制度改正が進むでしょう」
(答えていただいた人=弁護士 山脇康嗣 写真=共同通信社)