このプログラムは、06年度から始まった。主に性犯罪者を対象にした歪んだ性の強制措置である。だが、その効果はあまりないと法務省矯正局成人矯正課もいっている。不可解なことに、退去期限が来ても、警察は何もしなかったのだ。
「気を付けろ! 植木君が歩いている」
今回の取材にも立ち会った河合は、植木はますます孤独を深めているから、このまま放置して何もしないと「本当にいずれ彼はまたやってしまうであろうと感じました。それは社会にとっても不幸なことです」と危惧する。
植木はスマホに保存している10歳当時のめぐの写真を見て、自分を慰めているという。めぐは現在23歳。
「今の彼女に興味はありません」
植木のような犯罪者の再犯率は10%を超える。こうした人間は、油断すると欲望がうずき出して、それを止めることができない。この植木の衝撃の告白はもっと読まれていい。
『新潮』風にタイトルを付けると「気を付けろ! 植木君が歩いている」とでもなろうか。久しぶりに『新潮』らしい、いいノンフィクションを読ませてもらった。(文中敬称略)