「政権選択選挙になりようがない」

9月27日付の読売社説も「問題なのは、希望の党の政策決定過程が不透明なうえ、大衆迎合的な政策が目立つことだ」と手厳しかった。

一般的に産経と読売が批判的なら朝日は好意的なのだが、その朝日も今回は小池氏に対して批判的である。

たとえば10月11日付の朝日社説は「選挙戦の構図を不鮮明にしているのは、その小池氏の分かりにくい態度である」と指摘し、「『安倍1強政治にNO』と言いながら、選挙後の首相指名投票への対応は『選挙結果を見て考える』。9条を含む憲法改正や安全保障政策をめぐる主張は安倍政権とほぼ重なる」と書いている。

そのうえで「野党なのか与党なのか。自民党に次ぐ規模である希望の党の姿勢があいまいでは、政権選択選挙になりようがない。戸惑う有権者も多いだろう」と厳しく言及する。

9月2日付の朝日社説も「その影響力の大きさとは裏腹に、新党には分からないことが多すぎる。最大の問題は、何をめざす政党なのか、肝心のそこが見えないことだ」と苦言を呈した。

俗な言い方をすれば、小池氏と希望の党は右からも左からも批判の的にされている。これだと、得票数を思い切って伸ばすのはかなり難しくなる。

自公との「大連立」はあり得るのか

気になるのが10月9日付の「あす公示」の朝日社説である。

「小池氏はさらに、みずからの立候補を否定し、選挙後の首相指名投票で党としてだれに投じるかは『選挙結果をふまえて考える』と明確にしない。これでは政権選択選挙とは言えない」と書いたうえで、「見えてくるのは、選挙後に自民党と連携する可能性だ」と指摘する。

さらに「定着したかに見えた『自民・公明』『希望・維新』『立憲民主・共産・社民』の三つどもえの構図自体があやしくなる」とも指摘し、「政権交代に期待して希望の党に一票を投じたら、自民・希望の大連立政権ができた――。有権者にとって、そんな事態も起きかねない」と皮肉る。

「自民・希望の大連立政権」は、その可能性がないとは言い切れない。小池氏のスタンスは保守だし、仮に選挙後、憲法改正を目指す安倍首相が小池氏に秋波を送ったとしたら、野心のある小池氏は乗ってくるかもしれない。