衆議院が解散し、10月22日投開票の総選挙に向けて、小池百合子東京都知事が「希望の党」を代表として立ち上げた。「小池氏の本心は日本初の女性首相だ」と書いてきたジャーナリストの沙鴎一歩氏は、「日本の社会をここまで熱くした責任をとって、都知事を辞めて出馬すべきだ」と指摘する。新聞各紙はこうした動きをどう受け止めているのか。沙鴎氏が各紙の主張を分析する――。
産経新聞(10月2日付)、1面と2面に掲載された櫻井よしこ氏のコラム「美しき勁(つよ)き国へ」。

本心は「日本初の女性首相」にある

小池百合子という政治家の大胆さには驚かされる。安倍晋三首相の衆院解散表明と同日の9月26日に緊急記者会見をぶつけ、現職の都知事が新党の代表に就くという演出をやってのけた。安倍首相の王手を逆手に取った形になった。

マスコミの世論調査の結果も、自民党に次ぐ2番手で、小池氏の「希望の党」の人気はまずまずだ。選挙戦は「自民対希望」の構図で進むことは間違いない。

いま世論は小池氏の総選挙出馬に注目している。これまで書いてきたように日本初の女性首相に就くところに彼女の本心がある。それには出馬するしかない。それが日本の社会をここまで熱くした責任のとり方だと、沙鴎一歩は思う。

「小池氏に日本の政治は任せられない」

世論の一部が「小池待望論」に沸いているのに対して、新聞各紙は多くが「反小池」である。なかでも産経新聞は社説(タイトルは主張)や解説、識者の意見をまとめた記事などで痛烈に小池氏を批判する。

10月2日付の紙面では1面から2面にかけて評論家・櫻井よしこ氏のコラムを大きく展開していた。その内容はかなり辛口だった。

特にコラムの締めくくりが「小池氏がリセットだ、希望の党だと言っても日本に迫る危機の深刻さと憲法改正に至る重要な日々の到来を思い、私は氏に日本の政治を任せる気には到底なれない」と手厳しい。

櫻井氏はコラムの大半を裂いて今回の衆院選を「日本の運命がかかっている」と分析した後、この締めくくりを持ってきているが、その直前には次のようなくだりがある。

「小池氏を小沢一郎、小泉純一郎両氏と比べないわけにはいかない。3氏に共通するのが政局のカンのよさ、権力奪取のためには冷酷非情な手法も躊躇せず、独断専行に走る点だ。小池氏は自民党東京都連を『ブラックボックスのような形だ』と非難したが、実は小池氏自身がブラックボックスである」