注目は「希望の党」の得票数に移った

小池氏は若狭勝衆院議員や細野豪志元環境相らにすべて一任するように見せかけ、9月25日、安倍晋三首相の衆院解散表明にぶつけて記者会見を開き、希望の党の立ち上げと代表就任を発表した。これまで若狭氏らが積み上げてきた政策理念をなかったものにして、「リセット」という言葉まで使った。

このサプライズで、大衆は小池劇場に酔い、初の女性首相を目指す小池氏の勢いに飲み込まれた。まさしく「魔女の毒」が回った結果だった。大衆は再び、彼女の毒に酔いしれようと、出馬を期待した。だがそれはむなしい夢で終わった。

いま、小池氏は選挙戦で希望の党の代表として前面に立ち、有権者の支持を得るべく、「『安倍1強政治』を終わらせよう」と訴えている。今後の選挙戦で希望の党はどれだけ得票できるだろうか。

朝日から読売、産経まで各紙が批判的

共同通信社が9月30日、10月1日の両日、衆院選に向けて有権者の支持動向などを探る全国電話世論調査を実施した。その調査結果によると、比例代表の投票先政党は自民が24.1%で、希望の党が14.8%だった。希望の党の結成後、初めての調査だったが、自民と希望の党の差は9.3ポイントである。この差を大きいと見るか、小さいと見るかは難しいところだろう。

新聞各紙の社説はどれも小池氏にかなり批判的だ。

公示翌日の10月11日の産経新聞の社説(主張)は「希望の党の小池百合子代表は、議員定数の過半数の候補者を擁立しながら、自らの出馬を見送った。首相指名の候補も、あらかじめ決めていない」と書き、「小池氏は公示後の第一声で『安倍1強政治を終わらせよう』と訴えた。ならば、首相候補を不在にしたまま、もし『終わらせた』後はどうなるのか」と厳しく指摘する。

さらに連立の可能性についても「小池氏が、自民党と連立政権を組む可能性について否定していないのも、責任ある姿勢とはいえない。選挙結果によって判断する要素は残るだろう。だとしても、まず自らが選挙後の政権の姿を描いてからの話ではないか」と非難する。

産経社説は9月27日付でも「議員生き残りの『希望』か」と皮肉たっぷりの見出しを付け、「政見を同じくする仲間を募り、理念や政策を積み上げる作業は一切、省略だ。民主的な党運営とは無縁のスタートといえる」と批判していた。

次に読売新聞の社説。10月11日付で「希望の党は、小池代表が出馬を見送り、候補者も235人と、過半数にぎりぎり達するにとどまった。小池氏は『候補者が全員当選というわけではない』とも語っており、希望の政権獲得は見通せない。失速感は否めまい」と書いている。