日本勢を圧倒するアマゾンの品ぞろえ
ネット通販世界最大手の米国アマゾン・ドット・コムが、日本での「BtoB」ビジネスを本格化させる。個人向けの「BtoC」では大きな変革をもたらしてきただけに、企業向けの「BtoB」でも同じことが起きる可能性がある。そうなればアスクルやMonotaRO(モノタロウ)などの日本企業の業績にも大きな影響を及ぼすことになる。
アマゾン・ドット・コムは1995年の創業以来、世界各地に物流センターを設置するなど規模拡大に邁進。現在、世界で運営している物流センター・カスタマーサービスセンターの広さは1億8000平方フィート(約1670万平方メートル)を超す。三井不動産、三菱地所、住友不動産の3社合計のビル貸付面積、およそ1000万平方メートルを上回る規模である。
アマゾンの16年12月期の売上高は約15兆円、総資産は9兆円を超す。キャッシュの獲得力を示す営業キャッシュフロー(CF)も2兆円に迫る。売上高と営業CFに限れば、イオンとセブン&アイ・ホールディングス(HD)の合計を上回る。
世界の最先端を走るべく投資を先行してきた企業だけに、各種の利益率は低水準にとどまり、最終赤字(純損失)も珍しくはなかったが、1兆3500億円まで売上規模を拡大させてきたクラウド事業(アマゾン・ウェブ・サービス事業)が、確実に利益を生み出すようになってきた。
日本における売上高は、米国、ドイツに次ぐ。推移は8703億円(14年)、9090億円(15年)、1兆1876億円(16年)と右肩上がりだ。17年1月~6月の半年決算でも、世界売上高は20%を超す伸びを示しており、日本での販売も同じ上向き傾向を示していると見ていいだろう。
そのアマゾンが、法人向けの購買専用サイト「アマゾンビジネス」の運用を今年9月から日本で開始した。15年にスタートした米国ではすでに、100万社以上の顧客を獲得。16年にはドイツ、17年4月には英国で開始しており、日本は4カ国目である。