アマゾンの競争力の源泉は「2億種」といわれる圧倒的な品ぞろえだ。さらに低価格や即日配送などの利便性も提供する。それに加え、アマゾンビジネスでは、文具・オフィス用品などの販売で「数量割引」「月末締めの請求払い」といった新しいサービスを提供することで、法人客の囲い込みを狙う。

アマゾンは1000円売ると30円儲かる

法人向け通販に本格参入したアマゾンと真っ向から競合する日本企業はアスクルだろう。同社はアマゾンとは対照的に、オフィス用品の翌日配送サービスというBtoBでスタート。現在はヤフーの子会社で、この数年は個人向けの「LOHACO」事業を本格化させている。

法人向け通販では、大塚商会がオフィス向け通販事業「たのめーる」、コクヨが通販事業子会社のカウネットを展開していて、これらへの影響も想定される。直近の年次決算における売上高は、アスクル3359億円、「たのめーる」事業1460億円、カウネット938億円だ。

専門通販を手がけるモノタロウやミスミグループ本社も競合となる。モノタロウは工場で使用する消耗品や補修用品などの通販事業が主力。ミスミは生産現場での標準品や金型部品などを手がけるメーカーであるとともに、ねじやボルト、切削工具など製造業向け製品の通販事業を展開している。売上高はモノタロウが696億円、ミスミが2590億円である。

ここで各社のビジネスモデルをわかりやすく捉えるため、アマゾン、アスクル、モノタロウ、ミスミについて、1000円の商品販売にたとえた収支を確認してみたい。

アマゾンの場合、1000円の販売で獲得する儲け(営業利益)は30円である。ただし、全体売上高のおよそ7割を占める商品の通販(仕入商品による販売)事業に限れば、35円程度の儲けになっていたようだ。

アスクルの儲けは、1000円の販売につき26円。売上高が1889億円だった10年5月期以降、連続増収を維持しているが、利益率は低い水準にとどまっているのが現実だ。