モノタロウは米国企業のグレインジャーの子会社。グレインジャーの売上規模は1兆1000億円とアマゾンには遠く及ばないが、日本で米国企業同士が競合していると捉えていいだろう。モノタロウの営業利益は、1000円の商品販売につき100円を超す。最大の要因は、アスクルより仕入負担割合が軽いことだ。アスクルの場合、1000円の商品の仕入代金は755円についているが、モノタロウはそれよりも100円以上安い600円台前半である。
規模や商品点数では勝負にならないが……
ミスミは、1000円の販売で100円を超す営業利益を実現している。中国や韓国、ベトナムなどに生産設備を構えているように、自社生産もあるため原価率が低くなっているからだ。
ミスミの原価率は60%を切る。
物流施設の拡大に向けて、アスクルは埼玉県入間市と大阪府吹田市に合計で190億円、モノタロウも茨城県笠間市に90億円を新たに投資する。ただし、設備投資などへの実際の出金を示す投資CFの比較でいえば、1兆円を突破しているアマゾンとは比べようもない。
規模の拡大や配送のスピード化、商品点数といった正面からの戦いではアマゾン有利は動かない。それだけに、競合他社にとっては別の土俵での勝負や付加価値の提供がポイントになる。
たとえば、アスクルでいえば、これまで培ってきた販売代理店(エージェント)制度のさらなる活用である。顧客の開拓や集金業務などを担うエージェントは、約1400社を数えるという。
仕入先企業との間でリアルタイムにマーケティング情報を共有し、売れ筋商品の迅速な開発や欠品回避も重要なテーマになるだろう。