会議や話し合いで反発を生まないためにはどうすればいいのか。『京都人が教えるずるいけどうまい合意の技術』(青春出版社)を書いた、行政書士の服部真和さんは「誰に・どの順番でアプローチするかが重要だ。1200年の都が育んだ京都人の『敵を作らない技術』をぜひ参考にしてほしい」という――。(第3回)

※本稿は、服部真和『京都人が教えるずるいけどうまい合意の技術』(青春出版社)の一部を再編集したものです。

京都
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京都人の根回しは「場を整えること」

一般的に「根回し」という言葉には、少しネガティブな印象があります。「裏でこっそり話をつける」「便宜を図る」「裏工作をする」、そうした負のイメージを持つ人は少なくありません。

しかし、京都で粛々と行われる「場」を尊重した根回しは、不誠実なものではありません。ここでいう「戦略的根回し」は、「場を整えること」です。対立が最小で済むように、事前に場の空気を踏まえた信頼関係を重要視する技術です。

実は元々の「根回し」という言葉は造園用語で、樹を最適な場所に植え替える際に、あらかじめ周囲の土を掘り下げて新しい根を再生させ、より発育の良い樹とすることです。つまり、語源的にも「根回し」とは、事前に周囲の人々と良好な関係を築くことによって、より良い人間関係に育てることを意味します。

そこで「場」を整えるために、対話相手だけでなく、関係者や取り巻く空気を読み「どの順番で、誰に、どうアプローチすべきか」を設計する方法を解説します。

対面する相手との調和が「点」だとすれば、根回しはそれを複数の人々に「線」としてつなぎ、それらを「面」に広げて整える「場全体を調和させる技術」です。まずは根回しの出発点となる「場を読む」ことから始めましょう。

“話し合い”には4種類の人がいる

対話では、相手の感情や価値観の対立の解消を目指しますが、複数の人々が関わる場面では、相手ひとりに気を配るだけでは不十分です。

場には「空気」と呼ばれる「暗黙の共通理解」があり、場に関わる人々はその「共通理解」を踏まえて、発言、沈黙、行動などをしています。それらが、それぞれの立場と複雑に絡み合って、全体の空気をつくり出しています。

たとえば、会議で明らかに反対意見がなさそうに見えても、ごく少数の影響力ある人間の「腑に落ちない様子」が場全体の流れを止めていることがあります。逆に、活発な意見が飛び交う会議でも、実は形式的な「きちんと議論を経た結論ですよ」の通過儀礼にすぎず、最初から合意に向かう会議だったなんてこともあります。場の空気は目に見える状況より、目に見えない背景に含まれやすいのです。

ただし、私の言う「場を読む」とは、「空気を読む」すなわち、空気に従うことではありません。どちらかというと「空気の関係構造を理解する」と表現するほうが近いです。

良好な対話を実現するためには、多くの場合、

・決定権者:決定権を持つ人
・参画者:積極的に動く人
・関与者:直接作用を与える人
・影響者:直接関わらなくても「場」の空気を左右する人

といった関係構造が存在します。