1%の超富裕層と99%の一般人
現在の世界は、1%の超富裕層と99%の一般人との差が拡大する「格差社会」です。この超富裕層は、大邸宅に住んで執事を雇い、運転手付きのリムジンで外出する、といった昔ながらのイメージのお金持ちではありません。
現代の富裕層の多くは成功者であり、(1)既存産業でアイデア起業、(2)プロフェッショナル職業で成功、(3)金融や投資で成功、(4)IT関連やネットなど新分野で起業、という4つのパターンにわけることができます。
どのパターンの成功者も、働くことを楽しみ、合間に人生もしっかり楽しむ「ワーキングリッチ」です。彼らにインタビューをすると異口同音に「自分がやりたい仕事に熱中して、気づいたらこうなっていた」と言います。チャンスをつかんで事業や投資で成功し、一瞬で財産を形成している。その後も大きな失敗をせず、財産を維持するか、増やし続けているのです。
「投資」はしても「消費」はしない
超富裕層の多くは「ポジティブ思考」の持ち主で、常に「どうすればもっとうまくいくか」を考えています。辛いことがあっても明るい材料を見出せるから、前進することもできる。例えば、クラウドソーシングの最大手、クラウドワークス代表取締役社長兼CEOの吉田浩一郎氏は何度も失敗を経験し、同社を立ち上げる際には、車を売り、妻の実家に身を寄せ、貯金をはたいて退路を断ったそうです。
そして彼らには、仕事と遊び、オンとオフの区別はありません。お金持ちになったのも、「儲けよう」としたからではなく、みんなが喜ぶことを考え、提供した結果です。富裕層の行き着くところが慈善事業であるのは、ごく自然なことなのかもしれません。
生活習慣の面では、お金持ちほど「朝型人間」が多い。ワタミ創業者の渡邉美樹氏に取材を申し込むと、「会社へ行く前に取材を受けたいから、朝7時に」と言われたものです。厚生労働省が2010年に実施した調査によると、富裕層ほど朝食は取り、野菜をよく食べ、よく運動して体形を保つ努力をしています。お酒は飲むものの、たばこは吸わない傾向があるようです。律儀な人が多いことも確か。約束は必ず守り、メールにはすぐに返事を出す。
ダイエー創業者の中内功氏やソニーを創業した盛田昭夫氏は、大変な働き者で、しかも律儀でした。いまの日本があるのは、彼らが徹底的に技術を磨いていい製品を作ったからこそ。でも、彼らはほとんど贅沢などしていません。
徹底した合理主義者で、無駄なお金や自分の目的以外に時間を使うことを嫌います。だから、「投資」はしても「消費」はしない。高級外車や高級ブランド品を好みますが、それは資産性があるからであり、ビジネスの現場で、商談相手や交渉相手に対して有利になれるからです。要するに、お金をどう使えば、目的とするリターンが得られるかを常に考えている。「価値がある」と考えれば、高いほうから買う。バーゲンで買い物などしません。不動産も値崩れしない一番高いものから買っていく。ちなみに、税金対策でヨットを買い、週末に有明のヨットハーバーで乗り回し、シャンパンを飲んで喜んでいるのは、資産が10億より下のクラス。超富裕層ではありません。