いつ、どこで、何が違うことで、年収の違いは生まれているのか。アンケート調査の結果から意外な結果が見えてきた。

2000万円は資格勉強をしない

入試、就活、資格、出世競争――。生涯年収に関わる人生の「ターニングポイント」では、効率良く学習できるかどうかが結果を大きく左右する。では、年収の高い人の学習法はどう違うのか。プレジデント誌では年収500万円台と年収2000万円以上のビジネスマン1000人にアンケート調査を実施した。

経営コンサルタントの神田昌典氏によると、アンケート結果を読み解く際には「単純な学習法の違い」に加え、「仕事のステージごとに学習法は変わる」という視点を持つことが大切だという。

たとえば「何を勉強していますか」という質問に、「資格」と回答した人は2000万円以上で11.0%、年収500万円台で22.3%。一方、「政治」「経済」「歴史」などの教養と回答した人は、年収2000万円以上が多い。だが、この結果を「収入を上げるために資格勉強は意味がない」と読み解くのは早計だ。

「40代、50代で年収2000万円以上の人は、若い頃に勉強して資格を取得しているかもしれません。私自身、大学生のときに外交官試験に合格して外務省に入り、アメリカの大学院でMBAや経済学修士を取得したことが、現在のキャリアにつながっています。年収2000万円以上の人は、社会的に影響力のある立場になり、バックグラウンドとして必要な政治や経済、歴史の勉強をしていると考えられる。反対に、若いときから政治や経済をよく勉強するのはいいことですが、年収を上げることには直結しづらいでしょう」

神田氏は学習プロセスには、独学で情報を学ぶ時期(イン・フォーメーション)、人との交流で学ぶ時期(インター・フォーメーション)、学んだ知識を外に向けて発信する時期(エクス・フォーメーション)、専門分野を持った人たち同士が連携する時期(トランス・フォーメーション)の4つのステップがあるという。この考え方に従うと、若い頃は自分を高めるための学習が大切になってくる。

「しかし、どの段階においても、収入の高い人と低い人では『行動量』が圧倒的に違います。今回のアンケート結果を見ても、『勉強時間』『読書量』『会食の回数』『旅行の頻度』と明らかに開きが出ています」

後述のアンケート結果は、設問ごとに「意欲」「行動」「情報源」「読書」に分けて掲載した。行動量の違いはそれぞれの項目でどのように表れているか。神田氏の解説とともに見ていこう。

【稼げない人の習慣】
1. 引きこもりがちで人と会わない
2. スキマ時間にやることが決まっていない
3. 会社と家が遠い
4. 紙媒体をあまり読まない
5. 行動的でなく、旅行にあまり行かない

【稼ぐ人の習慣】
1. 社交的で人から情報を得る
2. 政治・経済のニュースを気にする
3. 少しの時間もムダにしない
4. エネルギッシュで行動量が多い
5. 読書量が多く、雑誌を定期購読