せっかく気づいても実践しなければ忘れるだけ

別の例で説明してみましょう。

「何か新しいことを始めると運が開ける!」。ある書籍にそんなメッセージがあったとします。「なるほど」と本を閉じて、この“気づき”を覚えていられるのはどれくらいの期間でしょうか。

翌日、会社に行って朝から上司に怒られて、緊急の仕事を依頼されたら……もう終わり。何も思い出せないのではないかと思うのです。

「学び」を得ようとするとき、大事なことは「投資対効果」です。短い時間で高い効率。これです。この投資対効果を高めたいならば、絶対にやらないといけないのは実践です。グズグズしていてはいけません。

「70:20:10」という法則があります。教育業界では有名な法則で、「人は何から学んでいるか」をあらわしています。10%はいわゆる座学、20%は上司や先輩などから教わる人づての学び、70%は日常業務や顧客先で体験するクレームなどの経験学習です。

結局のところ、経験しなければ真の学びにはなりません。だからこそ、“気づき”を行動化して実践を促す必要があるのです。

「いつ、どこで、何を、どうする」をすぐ決める

ある男性技術者は、同期入社の社員の話に触発され、「自分も何か新しいことに取り組むべきなのではないか」という“気づき”を得たそうです。

この技術者は、早速、同じ会社の営業担当者に、取引先との交渉現場に連れて行ってもらったそうです。本来、自分の業務には何も関係ありませんが、契約現場に同行して、具体的なやり取りを見学すると、営業担当者への信頼感が高まり、顧客へのイメージもずいぶん変わったといいます。

これぞ、“気づき”を実践に移した好例です。

実践したこと<営業現場に連れて行ってもらう>
●来週の月曜日(いつ)
●営業の商談の場にいって(どこ)
●営業担当者と顧客がどのようなやり取りをしているかを(何を)
●見学する(どうする)