【文章篇】レッスン9:半分に削る

冗長な文章を読むのは読み手にとって苦痛な作業だ。そこで一度書いた文章を、できる限り短くすることも大事。400字なら200字、100字なら50字、半分の分量に圧縮できないかトレーニングしてみよう。なくてもいい装飾文を削り、重複した表現を1つにまとめ、言葉を置き換えて文字量を圧縮させていくと、少しずつ情報が整理されていく。結果、本当に主張したいことだけが文章に残り、相手にも負担が軽くなって同じメッセージでもシンプルで力強く伝わる。1回ではなく、何度も繰り返しやってみよう。

【文章篇】レッスン10:寝る前に書き、起きてチェック

夜、感動しながら書いた文章を、朝読み返すと実はたいしたことがなくて落胆した……という経験はないだろうか。夜は副交感神経が働いて感情が優先されるのに対し、朝は交感神経に切り替わって物事をフラットに見られる時間帯だという説もある。「自分の文章を客観的に見るには、一晩寝かせるのが有効。朝、理性的な状態で読んで、文章のテンションが高すぎると感じたり、ピンとこない案だったら、迷わずにあきらめてやり直しましょう。パソコン上だけでなく、プリントアウトして客観的に見るのも手ですね」(渡邉さん)。

【文章篇】レッスン11:人に読んでもらう

集中して書いた文章は、時に独りよがりになりがちだ。もし上司に見せる企画書や文章であれば、最終的に提出する前に、一度同僚に見せてチェックしてもらうのが非常に有効。渡邉さんの知るコピーライターは、会社員時代、クリエーティブ部門ではない総務課の社員にコピーを見てもらい、その意見に耳を傾けていたという。関係者だと先入観を持って判断してしまうが、直接関係がない人はフラットに評価するので、その声は貴重だ。恥ずかしい気持ちはわかるが、いつかは公表するもの。勇気を出そう。

【文章篇】レッスン12:直前まで書き直す

文章に直す必要を感じたら、たとえ往生際が悪いように映っても、プレゼンのギリギリまで手を入れたほうがよい。「火事場の馬鹿力」と言われるように、極限状態に置かれた人は集中力が高まり、研ぎ澄まされたアイデアが生まれる可能性がある。渡邉さんはプレゼン中に新商品のネーミングを思いつき、その場で紙にマジックで書いて提示した経験もあるという。もし考えた末、元の案に戻っても、考えた量、考えた時間は無駄にならない。たとえ自信作であっても、最後まで粘ることは大事だ。

渡邉洋介
コピーライター。1980年、長野県生まれ。東京大学大学院でウエアラブル・コンピュータを研究し、電通入社。東京メトロ、トヨタ、キリンなどのコピーを手がける。受賞歴多数。著書に『「そのひと言」の見つけ方』。
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